つまり長時間の猛烈労働には、かたや社員を追い込む元凶であり、かたや会社存続のための必然という、相反する二つの側面があるということになります。法律改正などで長時間の猛烈労働を制限しようとする機運が高まる一方で、相も変わらず会社が長時間の猛烈労働を求め続けてしまうのも、そんな二面性があるが故です。
ただ、長時間の猛烈労働を求める点は同じでも、社員を過労に追い込む会社には非難の声しかありませんが、マスク氏率いるTwitter社には、強引な手法に対する非難の一方で、称賛する声も聞かれます。このようなギャップに「結局、長時間の猛烈労働ってイイの? ダメなの?」とモヤっとする人もいるかもしれません。
長時間の猛烈労働を求めている点は同じなのに、評価が分かれるのはナゼなのか。状況を理解する上で鍵となるのが、働き手の志向の違いです。整理するために、長時間の猛烈労働をめぐる会社と社員の関係性について分類してみたいと思います。
社員が会社から求められている能力を有しているか否かを縦軸、社員が長時間の猛烈労働を希望するか否かを横軸にして4つのカテゴリーに分類したのが以下の表です。
左上の「能力を有している×長時間の猛烈労働を希望する」カテゴリーに位置しているのは、極めて高い向上心や達成意欲などから長時間猛烈に働くことを希望していて、かつ会社から求められている能力も有している「ハイパー人材」です。会社としては、長時間に渡って求めるパフォーマンスを発揮し続けてくれることが期待できます。
一方、左下の「能力を有していない×長時間の猛烈労働を希望する」カテゴリーの人材は、極めて高い向上心や達成意欲などから長時間猛烈に働くことを希望してはいるものの、会社から求められている能力は有していない「根性適合人材」です。会社としては求めている水準のパフォーマンスは期待できないものの、長時間の猛烈労働で能力面の不足をカバーしてくれるかもしれません。
右上に位置する「能力を有している×長時間の猛烈労働を希望しない」カテゴリーは、会社から求められている能力は有しているものの、長時間猛烈に働くことは希望しません。プライベートも大切にしながら、仕事とバランスをとりたいと考えているような「能力適合人材」です。会社としては短い時間で求めるパフォーマンスを要領よく発揮することを期待できますが、急な方針転換や無茶な納期設定などにも食らいついて対処してくれるような柔軟性は期待できません。
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