プロントが誕生したのは1988年。昼は低価格のコーヒーショップ、夜はショットバーにして高収益を狙う二毛作業態として、サントリーとUCC上島珈琲の共同出資でスタートした。試行錯誤の末、軌道に乗り、2008年には200店に達した。
一貫して都市で働く人をターゲットにしてきたが、近年はフリーWi-Fi、自由に充電できるコンセントを備え、モバイルワーカーにも重宝されていた。ランチタイムはパスタが人気で、OLたちに愛用されている。
しかし、20年前には20代、30代だった若者の常連も、年齢を重ねて40代、50代となって、特に夜はいつのまにか顧客層が高齢化していたという。大人の行く落ち着いた店として、それはそれで良かったのだが、コロナ禍による顧客の激減で、危機感が強まった。
BI(ブランドアイデンティティー)を実施するにあたり、Z世代やミレニアム世代、つまり20代、30代にリーチする改革を行ったという。
昭和の雰囲気を再現する「ネオ大衆酒場」は、令和の若者にとってはレトロな感じがむしろ新しく、トレンドとなっている。東京・三軒茶屋「マルコ」、東京・十条「トーキョーギョーザクラブ」、大阪・谷町六丁目と東京・五反田の「大衆食堂スタンド そのだ」などが代表格とされ、コロナ禍にあってもにぎわっている。
そこで、このネオ大衆酒場の要素をリニューアルに際して取り入れることにした。ネオ大衆酒場の共通要素としてあるものを盛り込んで、喫茶+酒場の“キッサカバ”に変えた。
その共通要素とは、昭和レトロなメニュー、映えるグラス、ネオンサイン、キャッチーなイラストなどである。
前出のマルコではZ世代が店に行って、インスタグラムなどのSNSに盛んに投稿している。そうした投稿を見た人が次々と店に来る、好循環を生んでいる。
キッサカバになった夜のプロントでは、今では家庭で作らなくなった「タコさんウインナー」をはじめ、「おやじのシウマイ」や「オカンが作るハムエッグ」、ナポリタン、固めのクラシックなプリンといった懐かしいメニューをそろえた。
夕刻には、出入口にキッサカバの暖簾(のれん)を掲げ、ピンクのネオンを灯(とも)し、映えるグラスでお酒を提供。「若い人に好評で、狙い通りに顧客が戻ってきている」(同社・広報)とのことだ。
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