87年に国鉄が分割民営化され、公共企業体から民間企業へと大きく体制が変化した。その中で、JR各社はさまざまな事業に力を入れるようになった。Suicaが成功しただけでなく、駅ナカ事業に力を入れるJR東日本の例もあれば、近年は魚の養殖に力を入れるJR西日本、外食産業や不動産業に力を入れるJR九州の例もある。
JRがさまざまな新規事業に取り組めるのは、「総合職」が企画を立案し、その企画の実現に向けて動くからである。
ある会社で働いている人が新規事業をやりたい場合、どうするのか。専門性が高くニッチな仕事であれば、退職して起業を考える人も多いかもしれない。しかし総合ビジネス産業である鉄道会社の場合、総合職ならば自社内で事業を起こすことができるのだ。自社事業にシナジーさえあれば(いやなくとも)、新規事業を立ち上げることも可能である。
未来の変化という不確実性に対し、その変化に対応できる潜在的能力を持つ人材として、「総合職」が必要とされるのである。それゆえに鉄道会社の総合職はメンバーシップ型雇用の最たるもので、新卒未経験者が中心となっている。
こういった形態の働き方は多くの業界で見られる。共同体としての企業グループの存続を第一とする場合、「総合職」は最も対応しやすい雇用形態であり、今後も変わらないことが予想される。時代の変化に適合するために、“あいまいさ”は最も優れているのかもしれない。
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