鉄道会社の「総合職」は何のために必要なのか:納得の理由(4/5 ページ)
というものの、ここまで読んだ人は「あいまいではないか」と感じるだろう。実際に鉄道会社の公式サイトにある採用関連のページを読んでも、鉄道事業だけではなく不動産開発事業などにもかかわれると記載している企業もある。何でそんなあいまいなものがあるのか、よく分からないかもしれない。
大学に入学するときは法学部か経済学部か、あるいは理系なら機械工学科か電気工学科かなどと細かく分かれており、受験生は各学科の違いを考える。対して、会社に入る際は職種別採用の会社や業界ではない限り、「総合職」ではせいぜい文系か理系でしか分けていないことに疑問を感じている人も多いかもしれない。しかも鉄道事業だけではなく、ほかの事業をやることになると「いったい何の会社?」と感じるのもやむを得ない。
例えば、多角化の雄・東急の総合職は「鉄道事業」「都市開発事業」「生活サービス事業」と大きく事業が分かれている。実際に鉄道事業を担うのは、子会社の東急電鉄である。複数の事業を管理・運営することが東急の総合職に求められている。
東急の新卒採用ページではさまざまな業務内容を紹介している(出典:公式サイト)
鉄道メインと思われるJRも見てみよう。JR東日本は、「輸送サービス」「生活サービス」「IT・Suicaサービス」を主たる事業としている。Suicaは、鉄道などと並ぶ主な事業となっている。
新卒以外では配属されにくい総合職は、それぞれのポテンシャルを見つつ、配属先で仕事をしていく。どこの部門に配属されるか分からないぶん、採用にあたっては企業との親和性が配慮される。
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。
- ドラえもんがつくった地下鉄は公共交通か? ローカル線問題を考える
『ドラえもん』に「地下鉄を作っちゃえ」という話がある。のび太がパパのためにつくった地下鉄は公共交通と認められるか。この話をもとに、公共交通になるための過程、利用者減少から撤退への道のりを考えてみたい。
- 2025年の大阪・関西万博で、鉄道の路線図はどうなるのか
2025年に大阪、夢洲で「2025年大阪・関西万博」が開催される。政府は主要公共交通機関に大阪メトロ中央線を位置付けた。このほか会場へのアクセスには船とバス、さらに具体化していない鉄道ルートが3つ、近畿日本鉄道の構想もある。また会場内の交通には、3種類のモビリティが計画されている。
- 不人気部屋が人気部屋に! なぜ「トレインビュー」は広がったのか
鉄道ファンにとって最高の「借景」が楽しめるトレインビュールーム。名が付く前は、線路からの騒音などで不人気とされ、積極的に案内されない部屋だった。しかし鉄道ファンには滞在型リゾートとなり得る。トレインシミュレーターや鉄道ジオラマなど、ファンにうれしい設備をセットにした宿泊プランも出てきた。
- 東京メトロ「有楽町線」「南北線」の延伸で、どうなる?
東京メトロ有楽町線と南北線の延伸が決定した。コロナ禍で事業環境が大きく変化する中、東京メトロが計画する今後の戦略とは。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.