鉄道会社の「総合職」は何のために必要なのか納得の理由(4/5 ページ)

» 2022年11月30日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

あいまいな仕事が必要な理由

 というものの、ここまで読んだ人は「あいまいではないか」と感じるだろう。実際に鉄道会社の公式サイトにある採用関連のページを読んでも、鉄道事業だけではなく不動産開発事業などにもかかわれると記載している企業もある。何でそんなあいまいなものがあるのか、よく分からないかもしれない。

 大学に入学するときは法学部か経済学部か、あるいは理系なら機械工学科か電気工学科かなどと細かく分かれており、受験生は各学科の違いを考える。対して、会社に入る際は職種別採用の会社や業界ではない限り、「総合職」ではせいぜい文系か理系でしか分けていないことに疑問を感じている人も多いかもしれない。しかも鉄道事業だけではなく、ほかの事業をやることになると「いったい何の会社?」と感じるのもやむを得ない。

 例えば、多角化の雄・東急の総合職は「鉄道事業」「都市開発事業」「生活サービス事業」と大きく事業が分かれている。実際に鉄道事業を担うのは、子会社の東急電鉄である。複数の事業を管理・運営することが東急の総合職に求められている。

東急の新卒採用ページではさまざまな業務内容を紹介している(出典:公式サイト)

 鉄道メインと思われるJRも見てみよう。JR東日本は、「輸送サービス」「生活サービス」「IT・Suicaサービス」を主たる事業としている。Suicaは、鉄道などと並ぶ主な事業となっている。

 新卒以外では配属されにくい総合職は、それぞれのポテンシャルを見つつ、配属先で仕事をしていく。どこの部門に配属されるか分からないぶん、採用にあたっては企業との親和性が配慮される。

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