また、本件では数カ月前から休職しているとのことですので、健康保険の傷病手当金との関係も気になるところです。傷病手当金は被保険者が私傷病(業務以外の理由でのけがや病気)による労務不能の際に給付されますが、受給要件には「労務不能であること」との定めがあります。
本件ではアルバイト勤務を行えていることから、労務可能な状態であると見なされる可能性があります。これについて、平成15年に発出された通達(※2)では「他の事業所でアルバイトを行ったことのみをもって『労務不能ではない』との判断がされるわけではない」との取り扱いが示されていますが、実際に支給するか不支給とするかの決定は健康保険協会や健康保険組合などの保険者が行うことになるため、事前に保険者の対応を確認した方が良いでしょう。
(※2)資格喪失後の継続給付に係る関係通知の廃止及び「健康保険法第98条第1項及び第99条第1項の規定の解釈運用」について
本人にとっては復職に向けた前向きなアクションであったとしても、意図せず会社のルールに違反してしまったり、傷病手当金の不正受給につながってしまったりする場合もあります。休職開始時には、会社側から休職中のルールを周知徹底することが大切です。
また、体調に波がある状態で外に出て働けているのであれば、主治医だけでなく会社の産業医との面談の場も設け、現在の回復状況を確認してみることも一考です。
私傷病による休職期間中は、通常病気を治すための治療に専念する期間です。休職期間中とはいえ会社との雇用関係はそのまま存続しているため、副業・兼業や休職時における取り扱いなどについては、会社のルールに従う必要があります。早急に人事部に報告したうえで、休職時のルールの見直しや休職ルールの周知徹底を図る必要があります。
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