多くの方がDXと勘違いしているデジタライゼーション、デジタルツールの導入。これも注意したい点があります。現状の業務フローを、そのまま踏襲してテクノロジーに置き換える、という誤りです。
そもそも、その業務フローは最短距離で目的を達成できているでしょうか? さらに言うと、そもそも必要な業務なのでしょうか?
かのドラッカーも「最も不要な業務は、必要のない業務を効率化すること」と言いました。やらなくても良い業務を一生懸命、デジタル・ツールに置き換えても意味はないのです。
デジタライゼーションは、あくまで効率化であり、業務改善です。この業務改善の王道は「やめる、減らす、かえる」です。最も有用な業務改善は、その業務をやめてしまうことです。その分、リソースの確保が、小手先の効率化よりはるかに得られます。つまり、DXの前提となるデジタライゼーションは、今まで行ってきた業務改善の延長線でしかないのです。たまたまそれを、テクノロジーツールを使って行うことです。
総務が学び直すべきは、デジタルツールの活用方法よりむしろ、業務改善についてが先ではないかと考えます。
業務改善を、もう少しブレイクダウンして考えてみまとす。いわゆる、ペーパレス化です。紙のデジタル化と言っても良いでしょう。これは、デジタイゼーションの一歩手前の段階と言えます。
このペーパレス化は、紙がなくなればそれで良いのでしょうか。紙をなくすことが目的なのでしょうか? 先の業務改善で示した通り、そうではありません。
「そもそも、なぜ紙があるのか」を考えてみます。
そんな目的(コト)があり、それを行うのが、いままでは「紙(モノ)」、が最も手段としては有用だったため、紙が存在していたわけです。となると、目指すべきは、モノである紙をなくすことではなく、コトである、その業務の目的の見直しです。つまりは業務改善、ということになるのです。
つまり、ペーパレス化は目的ではなく、業務改善をすることで、結果的に紙がなくなっていく、という流れで考えるべきではないでしょうか。あくまでもめざすべきは業務改善であり、紙をなくすことではありません。こうした理解がないと、「紙はなくなったが、不要な業務や最短距離ではない業務が、デジタル化された」という状態が継続するだけです。
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