業務改善や業務の効率化は大事です。戦略総務的には、これらに取り組むことでリソースを作り、考える時間を確保すべきです。
しかし、一つ注意したい点があります。業務の効率化は、現場の最前線で行われます。ここに個別最適の罠があります。
業務効率化→個別状態の最適化→個別最適の実現となります。これはこれで「是」です。各論で見直していくため、これは良いのですが、どうしても足元の業務のことしか見えない状態で、突き進んでしまいます。ここが注意したい点です。
「合成の誤謬(ごびょう)」という言葉があります。個々では「是」なのですが、集めてみると、「?」という状態です。個別最適は実現しているのですが、「全体最適」目線で見てみると、重複していたり、無駄なことがあったり、データが連結していなかったり……。
経営者の目線は、常に全体最適です。会社として、業界として、あるいは日本として。そのような経営目線、全体最適目線が、この業務改善には必要なのです。戦略総務的には、個々での業務改善を行いながらも、その動きを常に把握している、司令塔みたいな役割が必要となります。総務の業務は属人化しやすく、その属人化したままで業務改善を行うと、上記の罠に陥ります。業務改善に入る前には、業務の可視化をしていくことが、本来的には必要となるでしょう。
DX、デジタライゼーション、ペーパレス化、業務改善についての注意点を示しましたが、共通して言えることは「経営目線が大事」ということです。視座を高く、どのように行うかというHow、ではなく、何を目指すかというWhatを考える。ぜひ、戦略総務はその境地に立って行っていきましょう。
株式会社月刊総務 代表取締役社長、戦略総務研究所 所長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、戦略総務研究所 所長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務』
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