「京成スカイライナー」がジレンマ 優先するのはスピードか停車駅増か杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)

» 2022年12月03日 09時52分 公開
[杉山淳一ITmedia]

不ぞろいの京成スカイライナー発車時刻

 11月26日のダイヤ改正で筆者が注目したところは「スカイライナーの上野駅発車時刻」だった。スカイライナーは、京成上野駅・日暮里駅と空港第2ビル駅・成田空港駅を結ぶ空港連絡特急だ。日暮里駅〜空港第2ビル駅はノンストップで、「都心〜成田空港最速36分」がウリだ。スピードこそ最高のサービスだからである。

 スカイライナーは1時間当たり3往復の頻度で走る。かつて京成上野駅発車時刻は毎時00分、20分、40分だった。朝夕ラッシュ時は通勤輸送が優先されるため少しズレる。けれども、基本は京成上野駅発00分、20分、40分だ。JRから乗り換える人にとっては日暮里駅発05分、25分、45分だ。この分かりやすさもサービスのひとつである。

 ところが、2020年2月26日のダイヤ改正でこの原則が崩れた。一部のスカイライナーの発車時刻が3分繰り上がった。京成上野駅発毎時00分、17分、40分になった。その影響で日暮里駅発時刻も変わった。海外へ出張、旅行に出掛ける人は乗り遅れに注意しよう。もっとも2年以上も経っているから定着したといえそうだ。

 11月26日のダイヤ改正で、この変則的なダイヤが解消されるか否か。結果として解消されなかった。京成上野駅発車時刻は毎時00分、17分、40分、あるいは毎時00分、20分、37分だ。17分だけではなく、37分発も設定されて複雑度を増した。

 京成電鉄にとってこのダイヤは不本意ではないか、と筆者は思う。元通り、京成上野駅発00分、20分、40分に戻したかったはずだ。しかし、今回のダイヤ改正ではかなわなかった。

 そもそも、なぜ17分発、37分発のスカイライナーが設定されたかといえば「青砥駅に停車するため」だ。青砥駅は京成押上線が接続しており、都営地下鉄浅草線と相互直通運転を実施している。さらにトンネルの向こう、京急電鉄からも直通する列車がある。それらの乗客のうち、いままでアクセス特急で成田空港へ向かっていた人をスカイライナーに乗せようと考えた。

 しかし、青砥停車は2つの意味で問題がある。1つはダイヤ設定、もう1つは所要時間増加だ。先にダイヤ設定の問題を説明する。

京成上野駅(京成本線、成田空港・京成津田沼方面)の時刻表。6時台、7時台のスカイライナーは00分、20分、40分。8時台と9時台は20分発が17分発に。10時台から15時台までは40分発が37分発になった(出典:Yahoo!路線情報

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