ミスタードーナツが不振に陥り、コンビニがチャンスありと参入した14年頃のドーナツ市場を振り返ってみよう。
当時、最も勢いがあったのは、クリスピー・クリーム・ドーナツであった。ミスタードーナツと同じく米国生まれのドーナツで、06年にロッテと経営コンサルティング会社リヴァンプの合弁会社として日本法人が設立された。東京・新宿サザンテラスの1号店は工房も兼ね、長蛇の行列ができる名物店となった。
クリスピー・クリーム・ドーナツは15年には最大の64店にまで増えた。
そればかりでなく、日本発のヘルシー派、自然派のドーナツチェーンも生まれた。02年には、添加物を使わない動物ドーナツの「フロレスタ」が奈良や大阪で車での移動販売を開始。06年には実店舗の奈良本店をオープンした。08年には豆乳やおからを主原料にした「はらドーナツ」が神戸から展開をスタートした。
このような2000年代の新勢力の台頭が、第一次のドーナツブームを形成し、ミスタードーナツの勢いを削いでいたのである。
ミスタードーナツは1971年から日本で展開を始めたが、その前年の70年にこれも米国生まれの「ダンキンドーナツ」が日本1号店を出店している。しかし98年に、運営会社の吉野家ディー・アンド・シー(当時)が、売り上げ不振を理由にダンキンドーナツから撤退。日本では、ミスタードーナツが完全にひとり勝ちとなった。
そうした無双状態がクリスピー・クリーム・ドーナツなどによって脅かされつつあったところに、雪崩を打ってコンビニが本格参入してきたというわけだ。
コンビニのドーナツ急拡大がクリスピー・クリーム・ドーナツの勢いを止め、駆逐してしまった。16年9月には46店となり、1年で18店を大量閉店する大打撃となった。17年1月には新宿サザンテラス店までもが、売り上げ不振で閉店した。
はらドーナツも16年5月、外食大手のフジオフードシステムに買収された。
コンビニのドーナツ攻勢の影響は、ミスタードーナツだけではなく、2000年代に出現した第2世代のドーナツチェーンにも多大だった。
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