ましてや、逮捕者まで出るシステムの就活は、いったい誰のためのものなのか。全く理解できません。11月末には、就職採用試験の「Web型適性検査=Webテスト」を志願者の代わりに受験したとして、28歳の“エリート会社員”が逮捕され、依頼した学生も書類送検されました。
むろん犯罪は犯罪だし、どんな事情であれ悪いことは悪い。
しかし、“犯罪者”を生むような就活に、一体どんな価値があるのでしょうか。
「学歴フィルター」についても、学歴差別肯定派の人たちは「優秀である可能性が高い者を見極めの指標に学歴が最も合理的」「学歴は高校時代に努力した証」といいますが、「自分の能力」と信じている力は、本当に「あなた」の能力なんですか? と問いたい。
実際には「あなた」自身ではなく、「出身家庭」によるところが大きいのです。
『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)の著者である社会学者・橋本健二の分析によれば、新中間階級出身者たちは当たり前のように大学に進学し、当たり前のように新中間階級になることができた、と。「しかし、それは恵まれた家庭環境に育ったからであって、特に彼らがもともと能力的に優れていたからではない」と指摘しています。
また、さまざまなデータを用いて「能力」への出身家庭の影響を分析したマイケル・サンデル教授は、豊かに生まれた者は豊かになる確率が高く、貧しく生まれた者は貧しいまま死ぬ確率が高いという理不尽な現実を暴きました(『実力も運のうち 能力主義は正義か?』より)。
具体的には、所得規模で下位5分の1に生まれた人のうち上位5分の1に達するのは20人に1人。ハーバード大学やスタンフォード大学の学生の3分の2は、所得規模で上位5分の1に当たる家庭の出身で、アイビーリーグの学生のうち、下位5分の1に当たる家庭の出身者はわずか4%程度です。
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