「箱根駅伝」唯一の協賛メーカー「ミズノ」が、なかなか“独走”できないワケ箱根駅伝の裏側でメーカーの競争(前編)(2/3 ページ)

» 2023年01月01日 08時00分 公開
[酒井政人ITmedia]

ユニフォーム対決は「ナイキ」「アディダス」の二強

メーカー 大学
ミズノ 東京国際大、創価大、法大、日体大、国士館大(5校)
アシックス 帝京大、早大、山梨学大、専大(4校)
ナイキ 駒大、東洋大、中大、明大、東海大(4校)
アディダス 青学大、國學院大、大東大(3校)
ニューバランス 順大、城西大(2校)
プーマ 立大(1校)

 箱根駅伝に出場する大学の多くは、各メーカーから「ウエアサプライヤー」を受けている。各校とメーカーの契約内容はシークレットだが、メーカーは単にウエアを提供しているだけでなく、金銭面を含めて強化サポートをしているケースもある。外資系企業の方が予算は豊富な印象だが、PR効果がないとスパッと切る傾向もあるように感じている。

 大学側には、将来的に活躍が見込まれるチームに好条件のオファーが舞い込むことになる。例えば、國學院大は昨季までの3年間は同大OBが社長を務めるスボルメからユニフォーム提供を受けてきたが、今季からアディダスになった。アディダスがスボルメの契約内容を上回ったと考えるのが自然だろう。

 ユニフォームのデザインが変わっただけではなく、國學院大の選手は“新たな世界”を経験している。アディダスは4月30日にドイツ本社があるヘルツォーゲンアウラハで「ADIZERO: ROAD TO RECORDS 2022」を開催。同社契約アスリートが9つのナショナルレコードを樹立した超ハイレベルのレースに平林清澄選手と山本歩夢選手の2年生コンビが挑戦したのだ。まったく勝負にはならなかったが、他の学生ランナーでは絶対にできないような体験をしたことになる。

ADIZERO: ROAD TO RECORDS 2022(画像:ADIDAS公式Webサイトより)

 そしてアディダスの予感は的中する。國學院大は10月の「第34回 出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)」で2位に入ると、「第54回 全日本大学駅伝対校選手権大会」は過去最高順位(4位)を上回り、準優勝に輝いた。今回の箱根駅伝でも過去最高順位(3位)の更新が期待されているだけでなく、3年生以下にも好選手がそろっている。今後のPRチャンスは大きいといえるだろう。

 近年の箱根駅伝を振り返ると“二強”が激しい戦いを繰り広げてきた。ナイキ勢が08年から5連覇(駒大、東洋大、東洋大、早大、東洋大)を飾ると、13年はアシックス(日体大)が優勝。すぐにナイキ(東洋大)が王座を奪い返すも、15年からはアディダス(青学大)が4連覇を果たす。その後は、ナイキ(東海大)、アディダス(青学大)、ナイキ(駒大)、アディダス(青学大)と二強が交互に勝っている状況だ。

 23年大会は今季の出雲と全日本を完勝した駒大と、連覇を狙う青学大の“二強対決”が濃厚。またしてもナイキVSアディダスの戦いになりそうだ。

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