活用が提案されている700MHz帯は、715から718MHz、770から773MHzの3MHz×2幅。この周波数は、標準化団体の3GPPでバンド28として国際規格化されている。端末や基地局が標準的に対応しているバンドなので、それらの調達に差し障ることもない。また、ドコモが自社の契約数と帯域幅から比例計算すると、3MHzは約1100万契約に対応できるという。楽天モバイルの契約者数は22年9月末時点で455万契約なので、当面は3MHz幅で十分だろう。
もし楽天モバイルがこの挟帯域を使うことになれば、他社は移行のコストをかける必要がない。日本は5Gの展開が諸外国に比べて遅れているとされ、一方で政府はデジタル田園都市国家構想で5Gの整備を前倒しで進めさせようとしている。さらには、携帯電話料金の値下げで、ここ数年キャリアの業績は落ち込んでいた。5Gを強化して底を脱出しようと目論む時期に、大きな利益を生み出さない移行のために1000億円ものコストを費やさずに済めばその方がいいだろう。
挟帯域活用の技術的条件については、「700MHz帯等移動通信システムアドホックグループ」で昨年末から早速話し合いが行われている。楽天モバイルへのプラチナバンドの割当てがどうなるのか、23年もしばらく目が離せない状態が続きそうだ。
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。
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