新年早々の1月7日、中国で電子商取引の最大手であるアリババグループの創業者、ジャック・マー氏についてのニュースが飛び込んできた。
マー氏は、アリババ傘下の決済アプリである支付宝(アリペイ)を提供しているアント・グループの支配権を当局のプレッシャーによって手放したという。この流れは2022年7月に米ウォールストリート・ジャーナルが先行して報じており、それが正式に発表された形となる。
ここのところ、マー氏の動向は日本でも注目を集めていた。というのも、マー氏が中国当局から逃れて日本に滞在していると噂になっていたからだ。
マー氏が日本に滞在していたことは事実であり、日本にいる知人などと接触していたともみられている。そして7日の発表直前には、タイの首都バンコクにある有名飲食店を家族で訪れていたことも確認されており、流浪の生活をしている可能性が指摘された。
アリペイなどを普及させて中国でも最も有名な経営者となったマー氏は、中国政府から「出る杭」とみられて、20年に見事に「打たれて」しまった。金融当局を批判する発言をしたのをきっかけに習近平国家主席の逆鱗に触れ、IPO(新規株式公開)を直前で停止させられたのである。その後、一時、マー氏は消息不明になり、しばらくして牙を抜かれたかのように大人しくなって戻ってきた経緯がある。
こうした顛末を見ると、やはり「中国リスク」がこれまで以上に高まっていることを再確認させられる。特に、日本の企業もビジネスにおいて中国との関係は深かったが、今ではリスクを真剣に考慮しなければいけない状況で、23年はその傾向がますます強まる可能性がある。
「中国リスク」の高まりは、すでに中国に進出している企業の動向からも見えてくる。
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