帝国データバンクによれば、20年から日本企業の中国撤退が増えており、その数は940社にのぼる。22年現在、中国に進出している日本企業は約1万2000社で、過去10年間で最も少ない。
追い打ちをかけるように、在日中国大使館(東京都港区)は1月10日、日本国民へのビザ発給を一時停止すると発表した。企業の駐在員派遣への影響が懸念される。
そもそも日本にとって「チャイナリスク」という言葉は、10年や12年に、尖閣諸島をめぐる日中摩擦を受けて発生した反日デモで、日系企業が破壊された当時によく使われた。しかし、それ以降も、さまざまな要因で、中国とビジネス関係を深めることへのリスクが指摘されるようになった。
まずはリスクではないが、以前よりも人件費などが高くなっていることが挙げられる。それに加えて、19年からの香港民主化デモや新疆ウイグル問題、さらに中国が発生源となった新型コロナなどがリスク要因となってきた。
日本では、中国などとのビジネスが安全保障にリスクを与える可能性があるという「経済安全保障」に政府が力を入れている。そんなこともあって、経済産業省は「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」という事業を行なって、日本企業が中国などから撤退する後押しをしている。
これについては、特に新型コロナ禍によるサプライチェーン途絶への懸念もある。中国でロックダウン(都市封鎖)などの政策によって、中国にある供給網が機能しなくなり日本のビジネスが滞った。そのため、政府は地味ではあるものの日本国内で生産などを完結できるよう支援策を講じている。
ゼロコロナ政策の影響は欧米にも及ぶ。EU(欧州連合)商工会議所の22年5月の調査では、中国政府によるコロナ対策により、4分の1の欧州企業が中国撤退を考えていると答えている。
もっとも、新型コロナ前から中国離れの傾向にあったようだ。米調査会社ガートナーの20年の調査では、欧米や南米、アジアなどでサプライチェーンを中国に抱える企業の3分の1以上が、23年までには中国からの撤退を考慮していると答えている。
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