このように、ど冷えもんは「冷凍だけでなく冷蔵でも売りたい」「もっとサイズを小さく(または大きく)」「袋物も売りたい」といったように、さまざまなニーズに応えて、商品をバージョンアップさせてきた。
ど冷えもんは非接触、非対面によって24時間販売できるので、コロナ禍で重宝された面はある。しかし、ヒットした理由はそれだけではない。冷凍食品は賞味期限が長く、人件費が掛からず、電気代も1カ月で1万円も掛からないケースが多い。全般にコストが安い。
飲食店の人手不足が深刻化しており、販路拡大のために設置場所を増やす店もある。冷凍食品は、食品ロスが少なく、ごみを削減できる環境への優しさも魅力だ。
「自動販売機には熱心なマニアの方がいらっしゃって、SNSで情報が伝わるのが早いです」(同社・広報)。周囲に目印になるような建物が何もない、分かりにくい場所に設置されたど冷えもんでも、SNSの口コミ効果により、驚くほどの売り上げを叩き出していることもあるそうだ。
サンデンRSでは、22年7月に「ど冷えもんGO」というスマホ向けアプリをリリースした。位置情報検索システムと連動しており、どこに何を売っているど冷えもんが設置されているのか。スマホ画面で、たやすく検索できるので便利だ。
全国約5000台のうち2000台ほどしか登録されていないそうなので、早急に全台登録を目指してほしいものだ。
商品の在庫が確認でき、レビューもできるので、利用者が増えれば有益な情報がもっと集まってくるだろう。
ど冷えもんの活用事例として、業務用の麺類を製造する丸山製麺(東京都大田区)のラーメン自販機「ヌードルツアーズ」が著名だ。1号機は本社の前に21年3月に設置。1杯1000円以上という高額にもかかわらず好調で、今は全国165カ所に設置するほど、急速に普及した。
製麺工場なので、麺を卸しているラーメン店と交渉しやすいメリットはあっただろう。直接取引がなくても、お店と交渉を重ね、麺、スープを可能な限り忠実に再現。商品化している。
つけ麺「つじ田」、二郎インスパイア系「バリ男」、みそラーメン「ど・みそ」など、名店の味がわざわざ店にまで行かなくても手軽に味わえるので、人気になっている。一度は食べてみたい名店の味が、家庭で手軽に食べられるなら、消費者の財布のひもが緩むのだ。
チェーン店では、リンガーハットが「長崎ちゃんぽん」の自販機を店舗前で展開。全国約70カ所にまで拡大している。
また、「焼ビーフン」の袋麺で著名なケンミン食品が、調理済みビーフンの自動販売機を、神戸の本社前の他、兵庫県、愛知県、静岡県、福岡県の計6カ所に設置している。
このように、ラーメンをはじめとする麺類と、ど冷えもんの相性は非常に良好だ。
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