リテール大革命

「こんなものまであるの!?」で大ヒットの冷凍自販機「ど冷えもん」 パチンコ店の意外なニーズとは長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)

» 2023年01月19日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

パチンコ店が導入を決めた理由

 パチンコ店の活性化にど冷えもんを活用する動きもある。

 パチンコ店、カラオケ店、飲食店などを経営するタツミコーポレーション(兵庫県明石市)では、22年7月、リニューアルオープンした兵庫県豊岡市の「ミクちゃんアリーナ豊岡店」の店内にど冷えもん3台を設置。セルフサービスの飲食スペースを設けた。

パチンコ店ミクちゃんアリーナ豊岡店(出所:プレスリリース、以下同)

 同店は郊外ロードサイドにあり、近くに飲食店もコンビニもない環境。遊戯中の顧客がいったん車で食事に出てしまったら、もうほとんど戻ってくることはない。そこで、遊戯の途中で食事が取れるようにど冷えもんを導入した。

 パチンコ店に食堂を併設するケースもあるが、今は人手不足だし、人件費も掛かる。食材を余らせれば食品ロスも生じる。その点、自動販売機なら人件費は不要、冷凍食品は食品ロスもほとんど生じないメリットがあった。

ミクちゃんアリーナ豊岡店、飲食スペース
ミクちゃんアリーナ豊岡店飲食スペースに設置された、ど冷えもん

 タツミが販売する商品に関して2カ月を費やして試食会を開き、採用したのが社食サービスなどを手掛けるパック・エックスイノベーション(東京都港区)がど冷えもん用に商品開発した「ご褒美Theぐるめ」シリーズだった。60種類以上ある商品ラインアップのうちで、レンジアップにこだわり27種類を採用した。

 パック・エックスでは、「ロース勝どん!」「ぷりっぷり特大海老3本どーん!」「大人のナシゴレン&スパイシー唐揚げ」「コク旨ボロネーゼ」「バリうま明太パスタ」「たっぷりモッツァレラチリドッグ」「韓国風クリスピーチキン」「屋台風たこ焼き」「ガーリックフライドポテト」「あんトースト」「あんフレンチトースト」などといった商品をど冷えもん用に製造。

ご褒美Theぐるめシリーズ、コク旨ボロネーゼ
ご褒美Theぐるめシリーズ、ぷりっぷり特大海老3本どーん!
ご褒美Theぐるめシリーズ、屋台風たこ焼き

 ロケ弁グランプリで優勝した「SOMY'S DERI」が監修した弁当、神戸「トミーズ」のスイーツなどを取りそろえている。商品の価格は500〜900円が基本となっている。

 導入した結果はどうなったか。若い人に好評で、パチンコ台以上に売り上げるケースもあったとか。

 パック・エックスは21年8月より、ど冷えもん関連のビジネスを始め、30台ほどを設置した。同社ではパチンコ店の他にも、カラオケ店、ホテルなどの施設にニーズがあると見ており、それぞれの課題の解決に、ど冷えもんを提案していく方針だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.