放映権がないため、原則的に試合映像が使用できない中、番組ではDAZN側の創意工夫が光る。番組の大半を出演者2人のトークに任せつつ、要所では外部から購入した試合の静止画を活用し、番組として成立させているのだ。同様の手法はテレビ東京も採用している。W杯期間中、同社は放映権を持っていなかったため、日本代表の結果などを報じる際に、試合の静止画を地上波で放送したという(『週刊新潮』11月26日付けの報道)。
これに加え、日本でもファンが多い強豪クラブのリヴァプールが運営する映像メディア「LECTV」や、国内カップ戦(FA杯・カラバオ杯)、日本代表の中山雄太選手(ハダースフィールド・タウン所属)がプレーする2部チャンピオンシップなど、EPLリーグ戦以外のコンテンツに関して、全て独占放映権を取得。ローラー作戦に近い形で、番組で試合映像を使用する権利を確保している。
これにより、強豪クラブ同士の試合や、W杯での活躍で注目が高まっている三笘薫選手(ブライトン所属)、冨安健洋選手(アーセナル所属)など日本人選手のプレーを番組内で報じることに成功した。
DAZNの取り組みはこれだけにとどまらない。番組をYouTubeで無料配信しているのだ。EPL放映権を失った際は、ユーザーから批判が相次いだが、DAZNは出来る限りの企業努力で、ユーザーの離脱防止とともに、新規ユーザーの掘り起こしに努めている。
動画のコメント欄を見ると「番組を今季も見れるのはうれしい」「何としてもプレミアファンを引き止めたいという意地を感じる」「映像がなくても2人の話が聞けるだけで十分」などと好意的な意見が挙がっている。
YouTubeでの配信についてDAZN側は「今のスポーツファンの皆様にその都度ベストなスポーツ視聴体験を提供することに尽力しているとともに次世代のスポーツファンの育成もミッションとして掲げている。より多くの方にスポーツの感動をお伝えすべく日々思考錯誤をしており、今回のYouTube配信はその施策の一環となる」と説明。「より多くの方にご覧いただくことによって、ファンが増え、日本でのサッカー文化がより豊かになっていくのであれば、本望と考えている」とした。
「いつでも、どこでも、観て良し聴いて良し。多角的な楽しみ方をご提供し、お客さまの生活習慣の一部になるような番組に育てていくことが目標。お客さまの声を大事にし、距離感を縮める作業を大切にすることが、番組制作スタッフの哲学だ。DAZNのプラットフォーム、YouTube含め、豊富な欧州サッカーのライブ配信はもちろんのこと、他のオリジナルコンテンツとともに、欧州サッカーを楽しめる環境を提供していきたい」(DAZN)
現在、放映権を失っているEPLの放映権についても「常にスポーツファンの皆さまにプレミアムなスポーツコンテンツを提供する機会を探している。プレミアリーグに関してもその機会を今後も模索していく」とした。
中東カタールで開催されたサッカーのワールドカップ(W杯)による中断期間を経て、中断期間が5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)で最も長かった独ブンデスリーガも1月20日(現地時間)から順次再開され、欧州に本格的なサッカーシーズンが戻ってきた。EPL関連コンテンツ以外にも、のうち仏リーグアン、西ラ・リーガ、伊セリエAのリーグ放映権など豊富なコンテンツ数を誇るDAZNの今後に注目が集まりそうだ。
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