では、本当に百貨店はこの先も生き残って、次世代へと発展していけるのだろうか。
結論から先に言ってしまうと、筆者は「できる」と考えている。ただし、そこには「リッチな外国人観光客と国内の富裕層をターゲットに絞れば」という条件が付く。具体的には、百貨店に高級ラグジュアリーホテルや、高級レジデンスを併設するのだ。
リッチな外国人観光客や富裕層は、購買力があるので、ホテルや自宅からエレベーターで降りるだけのところにある高級ブランドでも、われわれがユニクロでフリースを買うようなノリで気前良くショッピングをしてくれる。そして、このような人々は百貨店内の高級レストランを利用するだけではなく、ときには庶民の味も楽しみたいということで、デパ地下でお惣菜も買ってくれる。
つまり、国内外の金持ちをメインターゲットにしていけば、村田会長の言う「スーパーブランドからコロッケまで」というビジネスモデルはちゃんと存続できるのだ。
もちろん、これが唯一の生き残りの道だということは百貨店側もよく理解している。分かりやすいのが、21年12月にリニューアルした「松山三越」である。ここは地上8階、地下1階というつくりで1階には化粧品やブランドが入って地下は食料品という典型的な百貨店だった。
しかし、20年秋から30年ぶりの大規模改修によって「金持ちをターゲットにする」という方向へ大きく舵(かじ)を切ったのである。
まず、7階と8階には道後温泉の旅館「茶玻瑠」が運営する北欧ライフスタイルホテル「LEPO」とレストラン「AINO」が入る。ホテルは全室フィンランドサウナが付いており、2名1泊で3万5000円くらいの部屋が多い。目玉が飛び出るほど高級というわけではないが、「ビジネスからお得な家族旅行まで」をうたうアパホテルのような庶民派ホテルでもない。
そして5〜6階には、最先端エイジングケアやカウンセリングを受けたり、美と健康に関する商品も購入できる「エイジングケア E3」が入る。ちなみに、こちらには「E3会員」というものがあり入会金は2万2000円で月会費は1万9800円。「うまい棒」が10円から12円に値上げしたと大騒ぎをするような庶民には、縁遠いフロアだということが想像できよう。
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