格闘技イベント「NARIAGARI」が無料配信 皇治とスマートニュース事業責任者に真意を聞いた23年もブームは続くか(4/5 ページ)

» 2023年02月02日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

ファイトマネーではなくスポンサーで稼いでほしい

 成り上がれる舞台を用意したのは、皇治自身がなかなか芽が出なかったときに「こういうチャンスがあったら良かったのに」と思っていたからなのか。

 「まさにそう思っていましたね。自分は15歳から立ち技の格闘技を始めて、26歳でK-1のリングに上がりました。この11年間はマジでしんどかったですし、お金もなかったです。ハッタリばっかりで、どうやったらK-1に行けるかも分からずに、もがいていた時期がありました。

 自分が誇りに思うのは、たくさんの人に支えられたけど、誰かに導いてもらったことはないことです。地方で埋もれていた選手の1人でしたが、地道にはい上がってきたんです。K-1のリングに上がったときも自分が直接プロデューサーに連絡しました。自分の人生はそれで良かったのです。だけど、もっと早くに登竜門的な舞台があれば、もっと早くメジャーになれたかもしれないと思うとね」

 メジャー団体へのルートが確立していなかったことで苦労した経験を、他の選手にはしてほしくない思いが強いようだ。そしてファイトマネーではなくスポンサー収入に本質的な課題があると話す。

 「この間もシュートボクシングのチャンピオンに会ったんですけど、格闘技で食べていけないから別な仕事をしているんです。本当は格闘技だけで食べていきたいのに、仕事をしないとあかん状況ってむなしいじゃないですか。これってプロといえるのかと。他のプロ選手にも負けてほしくないし、彼らと肩を並べ、そして超えてほしいです。

 なぜ食っていけないのかを考えると、重要なのはファイトマネーよりも知名度だと考えています。知名度さえあれば、いろいろと協力してくれる人はいるのです。スポンサーもビジネスとして宣伝してほしいと広告をどんどんつけるはずなのです。今は選手が広告塔にならない限り、プロとしてほぼ食べていけないのです」

 こうした現状への危機感があるようだ。

 「昔の旧K-1はファイトマネーが高騰しすぎて支払えず、その結果、潰れたわけですから、ファイトマネーを上げるのはなかなか難しいビジネス環境です。そうであるならば、選手を有名にし、かつ広告塔にしてしまえば、いろんな企業が有望選手に対してスポンサー料を払います。そうすればファイトマネー自体が高くなくても、みんな生活できるようになるんです。

 事実、BreakingDownの選手が食べていける理由は広告が入っているからですよね。埋もれていた選手が、実際に強くて、しかもスポンサーも付けられたら最高じゃないですか。そういう団体にできたらいいなと思っています」

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