春闘まっさかり。インフレによる物価の高騰が激しい昨今、例年に増してその結果について気になる人は多いのではないでしょうか。ファーストリテイリングが最大4割の賃上げを発表するなど、大企業を中心に賃上げの波が広がっています。
一方で、大同生命保険が1月に発表した、全国の中小企業経営者を対象にした調査によると、32%が賃上げを「実施しない」「実施できない」と回答しています。
原料の高騰や社会保険の適用拡大などでコストがかさみ、営業利益を残せない中小企業が多いのかもしれませんが、筆者はそれ以外にも賃上げに踏み切らない理由があると考えております。
それは、「評価制度の有無」と「中年社員の厳しい転職実態」です。社会保険労務士として、中小企業の評価制度や賃金制度に関わってきた経験を基に持論を紹介します。
最近、「〇〇社がベースアップ(ベア)した」というニュースをテレビやWeb記事などで聞いたり、見たりする機会が増えたように思います。昇給とベースアップの違いは、昇給が「個人にひもづくか、会社にひもづくか」という点です。 昇給は「個人」の年齢や社歴、仕事の成果に応じ給与が上がる仕組みで、通常は年に1回、会社の事業年度の始めの月に実施されます。
一方、ベースアップは「会社」の業績などに応じて、社員全員の給与を一律で上げる仕組みです。会社によっては、ベースアップをした上で個人の昇給額が加算されます。昨今では年功序列ではなく成果主義の評価制度により昇給額を決める会社も増えています。同じ在籍年数や職位でも昇給額に何千円と差がつく場合もありますので、ビジネスパーソンの通知表ともいえるでしょう。
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