その後のイベントでも人気を集め、スパム串は定番商品となった。経験を積みながら、調理法も進化させてきた。ひと缶から2本しか取れなかったスパム缶は、20本も取れる業務用に切り替えて開封作業を劇的に軽減。開け方も付属の鍵棒でなく、ペンチで爪をつかんで一気に引き裂く。ひと缶当たり4分だった作業時間を10秒にまで縮めた。
上里さんは「いろいろな苦労を重ね、ようやくたどり着けた」とする。
売り方と作り方を確立した2017年。上里さんは地元、沖縄で開かれる那覇まつりでのスパム串の販売を決める。沖縄ではなじみのない食べ方だが、関東では大ヒットした自信作。人気が出て「逆輸入」になるかも。淡い期待を持って、乗り込んだ。
ところが、反応は冷ややかだった。「スパム串ってよ―。うける―」。来場客は笑いながら指をさして通り過ぎていく。売れたのは3本のみ。スパム好きの上里さんのいとこが、珍しがって買ってくれた。沖縄のほとんどの家庭で常備されているポーク缶。上里さんは「いつでも家で食べられますもんね。わざわざ祭りで買う気にはならないのでしょう」と笑う。
それでも関東のイベントでは、現在も1日500本を売り上げる稼ぎ頭。人気商品として売り込んでいる。チーズといっしょにジャガイモとニンニクを煮込んだアリゴチーズをかけた新商品も開発。とろけて伸びるチーズがおいしく、見た目も楽しいと女性客にも支持を広げた。
上里さんは「これからも楽しみながら、沖縄を知ってもらえる商品を作っていきたい」と話した。
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