マーケティング・シンカ論

「カスハラ」の被害はいくらなのか? オペレーターが辞めた場合を計算した対応策は(2/4 ページ)

» 2023年03月15日 08時00分 公開
[小田志門ITmedia]

(2)カスハラ被害を「数字(コスト)」で可視化

 ここで、数字を出してみましょう。基本的には、コンタクトセンターでカスハラを放置した場合の算出例です。応対工数が跳ね上がることや、オペレーターのパフォーマンスが下がることはもちろん悪影響なのですが、一番インパクトが大きいのはオペレーターの退職なのでそれを持って推定していきましょう。

オペレーターの採用・教育コストが無駄になる

  • 1人当たりの採用費用:10万円
  • 1人当たりの研修費用(2カ月):60万円
  • 研修期間のマネジメント費用(管理者工数の一部):12万円

合計:82万円

新たなオペレーターの採用・教育コストが必要になる

  • 上記と同様の金額が必要

総合計:164万円の実損

 加えて、本来であれば他の業務に当てることができた管理者工数が埋まってしまう弊害もある。

 数値のところの実態は、自社の金額感に合わせてもらえればと思いますが、仮計算でカスハラ1件当たり164万円の損害を発生させることになりそうです。

 カスハラが発生すると、次はわが身と考え連鎖的に辞めてしまうケースも往々にしてあります。

 結果的にこのコストは、コンタクトセンターの現場や顧客が手にする商品・サービスの料金に跳ね返ります。モンスタークレーマーの1件のカスハラが、多数のステークホルダーへ悪影響を与えることになります。

 企業におけるカスハラ対策が、ある意味経営インパクトのある優先度の高い課題となってきているのはこういった事実があるからです。

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