EPLの収益力が拡大した大きな要因は、マンチェスターシティなどビッグクラブの存在が大きいです。同クラブは08年の中東UAE(アラブ首長国連邦)系の投資ファンドによる買収以降、巨額のオイルマネーを背景に成長を続け、20-21シーズンに約1000億円の営業収益を記録しました。
そんなEPLのビッグクラブに対して、Jリーグの状況はというと、19年度にヴィッセル神戸が記録した114億強が史上最高益。やはり、10倍くらいの差がついてしまっています。
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かつては世界規模で見ても収益力があった日本のスポーツビジネスが凋落している背景には、いわゆる「失われた30年」があります。その影響は、NPBやJリーグだけでなく、日本社会全体に及び、国力を示す経済指標の一つ「GDP」(国内総生産)にまで影響を及ぼしています。
バブル最盛期には、日本が米国のGDPを超すのも時間の問題と、「ライジングサン日本」は米国に恐れられたこともありますが、今や見る影もありません。
GDP比で、今や、米国は日本の4倍。30年前には比較にならなかった中国ですら、日本の3倍です。IG証券など各社が公開している世界のGDPランキングなどのデータを見てみると、中国に抜かれて以降、死守していた世界3位の経済大国という地位も、ドイツの経済成長により、4位転落の可能性も現実味を帯びてきました。
スポーツビジネスも経済活動の一環です。長らく低迷する日本経済の影響が、NPBにも直撃してしまったといえるでしょう。日本経済低迷の最中、NPBも彼らなりに頑張って少なからぬ成長は遂げたものの、成長拡大を続ける米国経済の恩恵を受け、MLBはNPBを遥かに上回る勢いで成長したのです。
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