Twitterのトレンドに「#日銀破綻」というセンセーショナルなワードが入った――。
スイス金融大手・UBSによるクレディ・スイスの買収騒動が、ドイツ銀行といった各国の大手金融機関に飛び火する中、わが国の中央銀行である日本銀行(日銀)も「破綻」、ひいては「預金封鎖」や「新通貨の発行」に踏み出すのではないかというとっぴな言説がSNSを駆け巡った。
クレディ・スイスは漫画作品や小説などで通称「スイス銀行」と呼ばれる銀行の一つであり、ドイツ銀行もドイツという国名を看板に背負った商業銀行だ。確かに日銀も国名を背負っている点では共通しているが、商業銀行ではなく中央銀行である点で大きな違いがある。果たして、中央銀行としての日銀が破綻するようなことが本当にあるのだろうか。
今回は、フィリピン中央銀行の事例も踏まえつつ、中央銀行が実際に破綻する可能性について触れていきたい。
結論からいえば、中央銀行たる日銀が破綻する可能性は非常に低い。日銀は日本の中央銀行であり、日本国内の金融政策や通貨発行を担当している。保有する債券や株式の評価損が金利上昇の煽りで膨らんだとしても、通貨発行権を行使したり、公開市場操作(オペ)を実施したりする権限があるため、破綻することは通常起こり得ない。
しかし、過去に中央銀行が破綻に近い状態に追い込まれた例はいくつか存在する。その代表例として、フィリピン中央銀行の事例が挙げられるだろう。
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