このように水素関連の技術や機器の供給能力は、十分に高まっているという印象だ。であればやはり、これまで以上に強力に国が推進させる力を発揮する時ではないだろうか。補助金を上積みするだけでなく、国の施設としてできるものを建設することはできないのか。
ダラダラと実証実験を繰り返している間に、月日はどんどん過ぎてしまう。今やEUや米国、中国でも水素利用の技術開発は進められており、開発競争は激化していくことは確実だ。
EVの普及や生産で遅れをとっているのは、まだいい。シンプルな構造ゆえ新規参入しやすいEVは、従来の自動車メーカーも簡単に手の内にしやすいからだ。資源の確保やコスト面さえクリアできれば、巻き返すチャンスをうかがう必要はない。しかし水素関連は日本がリードしている技術であり、その優位性を保っていかなければ、普及させても意義は薄くなる。
本当に日本という国を存続させる気があるのか、日本政府の本気の取り組みぶりが試されている。そんな気がしてならないというのが、H2&FC EXPOを取材して感じられた手応えだった。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。
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