こういう人たちに「顧客と店のフェアな関係」などの理屈を説いても馬の耳に念仏だ。「自分は正しい」とかたく信じて、正義のための闘争に明け暮れているような人たちに、「いや、ちょっと見方を変えると、あなたも間違ってますよ」などと諭しても、まったく聞き入れてくれず、「いちゃもんをつけるな」と話がこじれてしまうのと同じだ。
では、どうすべきか。個人的には韓国に学ぶべきではないかと思っている。
ご存じの方も多いだろうが、かの国のカスハラの悪質さは日本のそれをはるかに上回る。なぜかというと、韓国は日本以上に「お客様は神様」という考えが浸透しているからだ。
それを象徴するのが、「感情労働」という言葉である。これはその名の通り、自分の喜怒哀楽を押し殺して客を満足させる労働のことで、店員、コールセンターのオペレーター、看護師、客室乗務員などがこれに該当する。
『韓国では、サービス業全般で「愛してます、お客さま」という決まり文句が使われるほど、感情労働が重視されている。顧客からの過度の要求や激しいクレームにも、自分の感情を押し殺して対応するため、心身に変調をきたすリスクが高いというのだ』(産経ニュース2016年 1月14日)
背景として、韓国では儒教的思想が強いことがある。財閥、学歴、目上の人など、社会の「序列」が日本以上に厳しく決められていることに加えて、男性の場合は徴兵制があるため、「上の命令は絶対」といった上下関係を叩き込まれていることも大きいという指摘もある。
そんな風に日本以上に「お客様を調子に乗らせる国」で、日本以上に悲惨なカスハラが横行して、「壊れるサービス従事者」が多いのは容易に想像できよう。
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