動きという意味では、五反田では人気の飲食店が誕生し続けている。今だと一番有名なのは、1年先(2年という声もある)まで予約が取れない店として名高い「食堂とだか」だろう。雑居ビルの地下にあるわずか5坪ほどの店だが、テレビで紹介されたことから全国に知られるようにあり、あっという間に予約困難店になった。
予約が難しい店の他に行列店も多数ある。時代によって行列のできる店には入れ替わりがあり、その長短はあるものの、思い出すところではミート矢澤、おにやんま、ホットスプーン、麺屋彩音、信濃屋(鶏肉専門店)、東京豆漿生活などだろうか。
ちなみにミシュランガイド2022「品川・五反田・大崎」のビブグルマンに掲載されたのは、炭焼きよし鶏と前述の麺屋彩音の2店で、いずれも五反田だ。安くてうまい、が集まっているのが五反田というわけである。
五反田にはスタートアップ企業も集まっている。スタートアップ企業が参加する一般社団法人 五反田バレー代表理事の中村岳人氏によれば、理由は主に交通利便性の高さ、賃料の安さだという。
そもそも、五反田バレーという言葉自体は16年に日本経済新聞が名付けた。自然にスタートアップ企業が集積した状況を評したもので、その時点では誰かが音頭を取っていたわけではない。だが、日経の報道が契機となって大手企業、行政などの問い合わせが特定企業に集中してしまう事態となり、きちんと取りまとめる必要があるだろうと18年に生まれたのが一般社団法人 五反田バレーだ。現在は品川区とも協定を結び、100社ほどの企業が参加している。
「山手線の利便性はもちろんですが、特に五反田は品川、浜松町に近く、新幹線、飛行機利用時に便利です。住まいは五反田駅に乗り入れる東急池上線、都営浅草線沿線で探せば、生活しやすく、比較的賃料も手頃です。渋谷、六本木のようにオフィス、住宅ともに高い地域と違い、落ち着いた静かさ、地に足がついた感じがあります」(中村氏)
現在は複数の開発が進んでいるが、五反田駅周辺ではこれまで大きな開発が行われておらず、駅5分以内など近いところに築30〜40年の中小規模のビルやマンションが集積している。そのため、駅近なのに安く借りられるのである。
そうした事情は東急池上線、都営浅草線沿線にも共通する。東急池上線は17年に認知度が低い同沿線をアピールするために無料乗り放題を実施。このことからも分かるように、東急の他沿線に比べると、その人気は微妙なところがある。
都営浅草線は首都圏の他沿線に比べて混雑度が低く、かつ裏銀座線といってよいほど中心部の、でもちょっと裏手を走る。便利なのに空いている路線なのである。
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