同社は4月7日の会見で、トヨタは新たな事業戦略として「トヨタ・モビリティ・コンセプト」を発表。26年までにBEV10車種を市場に投入し、年間150万台の販売を目指す方針を打ち出す一方で、FCEVについて業務用の商用車の量産化なども盛り込み、以前からの「全方位戦略」の姿勢をあらためて示した。
同社広報はクラウンのFCEV化について「トヨタはカーボンニュートラルにマルチバスで取り組む中でFCEVの普及にも力を入れている。多様な選択肢を用意しているため」と回答。今後も引き続き、FCEVの普及を図る考えだ。
欧米では、これまで“トヨタ潰し”ともいえる電動化を急速に進めてきた。だが、ウクライナ戦争が転機となり、EUはバッテリー式EV(BEV)一辺倒の姿勢を転換。合成燃料「e-fuel」(イーフューエル)を使用した場合など条件付きでガソリン車を容認する方針を打ち出した。
BEVは現状、航続距離や充電環境の少なさ、充電時間の長さなど課題が山積している。BEV自体からは二酸化炭素(CO2)が排出されないとはいえ、動力源となる電気の発電時にCO2を排出している点の見逃せない。日本では火力発電がメインであるため、一部では環境面での効果に疑問の声も出ている。
これに加え、日産は積極的に情報発信をしていないが、急速充電の多用で車載バッテリーが故障することが明らかになっている。同社は取材に対し「できるだけ急速充電を控え、普通充電を使用することを推奨する」と呼び掛けている。
(出典:「急速充電でバッテリー故障」投稿に反響 BEVの正しい充電方法とは? 日産広報に聞いた)
そうした中で、BEVと同様にカーボンニュートラル(CN)を進める代替手段として、FCEVや、トヨタが開発を進める「水素エンジン」にも注目が集まっている。いずれもコスト面や、充填場所の少なさなどはBEV同様の課題を抱えるものの、航続距離や動力源の充填時間などBEVに勝る点もある。
エネオス公式Webサイトの情報によると、FCEVの充填時間は3分程度とガソリン車同等。エネルギー効率はガソリン車の2倍以上で、1度の水素充填で約650〜750kmの走行(ガソリン車と同等)が可能だという。
FCEVはこれまで車種が少なく、地味な市場となっていた。だが、全方位戦略の中で、ファンが多いクラウンにFCEVモデルを投入したことで、市場の転換点になるか注目を集めそうだ。
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