マーケティング・シンカ論

2カ月で1億人が使った「ChatGPT」 なぜここまで流行ったのか、UX観点から解説グッドパッチとUXの話をしようか(1/4 ページ)

» 2023年04月24日 08時00分 公開

連載:グッドパッチとUXの話をしようか

「あの商品はどうして人気?」「あのブームはなぜ起きた?」その裏側にはユーザーの心を掴む仕掛けがある──。この連載では、アプリやサービスのユーザー体験(UX)を考える専門家、グッドパッチのUXデザイナーが今話題のサービスやプロダクトをUXの視点で解説。マーケティングにも生きる、UXの心得をお届けします。

 「Google検索の時代は終わった」「今度こそ、AIに仕事が奪われるときが来た」──。

 今、AIに関する最もホットな話題といえば「ChatGPT」一択ではないでしょうか。皆さんはもう試してみましたか?

ChatGPTがAI関連の話題をかっさらっている(画像:OpenAI公式Webサイトより)

 ChatGPTとは、高度なAI技術によって、人間のような自然な会話ができるAIチャットサービス。2022年11月末のリリースからたった2カ月で1億ユーザーを突破するなど、空前のブームを巻き起こしています。

 こういった話題はIT業界ではよくあることです。正直、初めてChatGPTを知ったときは「また何か新しいのが出たんだな」程度に捉えていました。

 なぜなら誕生したばかりのChatGPTは回答にムラがあったからです。こちらの問いに対し驚くほど見事な答えを返してくることもあれば、誰が見てもウソだと分かる回答もありました。従来の無機質感とは違う、人間味を感じられるような返答などは評価すべき点かもしれませんが、その程度であれば話題になるのは一瞬。春にはみんな次の新しい技術に飛びつくはず……と思っていました。

弊社グッドパッチのCEOも噂を聞きつけてすぐにChatGPTを試していた。デザイン会社なのに、かすりもしない説明が逆に清々しい

 だが、ChatGPTはそうなりませんでした。今やその波はIT業界を超え、さまざまな領域で話題になっています。バラエティ番組にChatGPTが登場したり、学校の宿題にChatGPTを活用することの是非が問われたりしているのを見ると、ChatGPTを始めとするジェネレーティブAIが今までの当たり前を大きく変え得る存在であると分かります。

 一体、なぜここまで幅広い層に人気が出ているのでしょうか。今回の記事ではUX、つまり「ユーザー体験」という視点からその理由について考えてみたいと思います。新しいものをどんどん触りたい先進層から、AIになじみのない人まで楽しめる、ChatGPTにはどんな仕掛けが施されているのでしょうか?

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