そしてロービームであればまぶしくないはずなのに、まぶしいクルマも存在する。これが2つめの原因で、それはハイビームのまま走行してしまっているクルマだ。これは警察庁をはじめとする全国の警察が一昔前、ヘッドライトはハイビームが基本と啓蒙活動を行ったことが影響している。
ハイビームが基本というのは、ロービームで街灯の少ない道路を夜間走行中に歩行者や自転車に気付くのが遅れ、接触事故が起こるケースが目立ったため、前方に車両がいない場合は視界が限られるロービーム(道交法上はすれ違い灯である)ではなく、ハイビームを使用するよう広めたのだ。
しかし前走車や対向車がいる場合はロービームに切り替えないと、やはり交通違反であることが同時に伝わらず、ハイビームのまま走行してしまうドライバーが続出した。
そもそもヘッドライトに関する規制の大半は、道路交通法が制定された1960年代のままであることや、昨今の明るいロービームが逆に照射範囲以外を暗い視界にしてしまうこと、従来の暗いヘッドライトであったり黄変や曇って透明度が低下してしまったヘッドライトにより視界が暗くなっていることも影響している。
ドライバー自身の視力が低下して、ヘッドライトが明るくなければ視界が悪いと感じることもハイビームのまま走ってしまう原因のようだ。ここにもドライバー高齢化の影響が出ているのである。
夜間に交通事故が発生する割合が高まる理由として、見えにくい状況であるなら速度を落として走行するところを、制限速度前後で走行してしまっていることも原因としては小さくない。速度感覚をもたず、道路の幅や交通量、前走車の車速などから走行速度を判断しているドライバーは、車間距離を短めにしてしまうとともに、視界が狭く危険に気付きにくい傾向になる。
結局のところ、自分の都合を優先してしまい過ぎるドライバーがいるために、周囲のドライバーが迷惑を被るのが、まぶしさの原因として多くを占めるのだ。免許制度を含めたドライバー教育の甘さが、ペダル踏み間違え事故や運転免許の返納問題と同じようにヘッドライトの明るさを自分本位で判断してしまうのである。
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