そもそも車両が保安基準を満たしているか確認するための車検の検査ラインでも、水平な静止状態で配光を判断しているだけだ。実際には道路には起伏や凹凸、勾配などがあり、加減速などでもクルマは姿勢変化を起こす。それらが実際の配光や光のチラつきに大きく影響する。
自動車メーカーは保安基準さえクリアしていればいい、ロービームへの切り替えをしないのはドライバーの責任、という姿勢ではない。ハイビームで前方の視界を確保しつつ、前走車や対向車のドライバーを幻惑させない配光特性を実現する技術も開発され実装が進んでいる。
そんなインテリジェントなヘッドライトがALH(アダプティブLEDヘッドライト)である。これはLEDランプを細分化し、配光を細かく分担させて前走車や対向車の存在を前方カメラの画像を認識させることで判断させて、その部分への照射をカットする。LEDランプをいくつも装備して点灯を切り替えるようなイメージだ。
それに近い働きをするものにオートハイビームがある。これは対向車のヘッドライトを検知するとハイビームからロービームへの切り替えを自動的に行ってくれるものだ。
しかしALHと比べると検知の精度は甘く、車体の角度などによっては街灯などを誤検知してロービームへと切り替えてしまったり、対向車が来てもロービームへの切り替えを行わなかったりすることもある。このあたりはあまりしきい値をシビアに設定しても、かえって過敏に反応しすぎたり、ギリギリまで反応しないことになるので難しい。
またALHさえ全車に装備すれば解決、というわけではない。というのもヘッドライトがまぶしいのはクルマ側だけが原因ではないからだ。
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