ここで、都市部を中心にある問題が出てくる。マンションやビルに囲まれた学校が増えた結果、「『外から見られているのではないか』と子どもたちがおびえており、水泳の授業に集中できない」という声が寄せられるようになった。
また、水着の盗撮もこの時期に社会問題化したという。カメラに特殊な器具を取り付けて撮影すると、水着が透けてしまう事例が知られるようになった。そこで同社では、赤外線盗撮防止機能を付けた「すまいるスイムシリーズ」を開発。特殊な染料を使うことで、撮影しても透けないようにした。このように、水着に「子どもの不安を取り除く」という付加価値が求められるようになった。
この水着には、はっ水加工を施しているのも大きな特徴だ。当時、スクール水着にはっ水加工をしたのは一般的ではなかったという。水をはじくので水着が重くならず、体が冷えにくくなるというメリットがあった。
フットマークは2004年、水着の上から着用することで日焼け予防になる「シャインガード」を発売した。これは一般的には「ラッシュガード」と呼ばれているものだ。発売当初はそれほど普及しなかったが、2010年ごろから着用されるようになったという。背景には、紫外線対策に対する意識が高まったことがある。
2015年ごろまでは、ラッシュガードの着用を許可制とするところが多かった。しかし、ここ数年は自由に着用してもよいというスタンスの学校が急激に増えてきているという。
その傾向は、フットマークが実施した調査データからも見て取れる。小学校5年生〜中学校2年生の生徒とその親1200組を対象に、ラッシュガードの着用が許可されているかと質問したところ、「誰でも着用できる」(45%)が最も多く、「原則、着用してはいけない」(29%)、「申請をすれば着用できる」(23%)と続いた。
なぜ、着用を認める学校が増えたのか。
担当者は、「指導している先生は自由な服装ができるのに、私たちだけ制限されるのはずるい」という考えが生徒の間で広まってきていることが関係しているのではないかと指摘する。また、水着姿を見られることに抵抗感を示す生徒も増えているという。水泳の授業を休むケースが相次ぐようになったことから、着用を容認する流れが強まった可能性がある。
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