「函館新幹線」ついに公約へ! 想定ダイヤをつくってみた杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/8 ページ)

» 2023年05月13日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 2023年4月23日に行われた函館市長選挙で当選した、新人候補の大泉潤氏の公約が「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」だった。この構想は3年前に本連載で紹介した「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」とほぼ同じだ。

「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」がいよいよ現実味を帯びてきた。そこでフル規格新幹線車両の函館駅乗り入れ、分割、併結なしは可能か、ダイヤをつくって検証してみたい。写真は北海道新幹線の車両にも使われているE5系(筆者撮影)

 当時、私が発案者の吉川大三氏から資料を預かり「これはぜひ多くの人に知ってもらいたいから書かせてほしい」とお願いし、吉川氏からも「実現させたいから広めてほしい」と資料を託された。

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 吉川氏は日本鉄道建設公団(現鉄道建設・運輸施設整備支援機構)のOBで、青函トンネル龍飛建設所の副所長を務めた。知り合ったきっかけも連載で書いた第2青函トンネルの記事だった。

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 この記事のなかで「シールド工法や沈埋トンネルで工費が下がるのではないか」と書いた。その後、私が注目していた「観光列車」について、日本建設業連合会から講演の依頼を受けた。その講演の冒頭で、「否定的な意見もあるけれど、第2青函トンネルをぜひ実現してほしい」と訴えた。その直後の懇親会で吉川氏が声をかけてくださった。当時は大手ゼネコンの顧問をされていた。

 「あなたの第2青函トンネルの記事を読みました。でも、シールド工法や沈埋トンネルは難しいんですよ」と。私は建設業界のスピーチで釈迦に説法をやってしまったわけだ。そんな私に吉川氏は詳細な資料を提供してくださり、後にフォローアップ記事を書いた。

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大泉市長が公約として掲げた「北海道新幹線函館乗り入れ構想」(地理院地図を筆者が加工)
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