「函館新幹線」ついに公約へ! 想定ダイヤをつくってみた杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/8 ページ)

» 2023年05月13日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

新函館北斗駅決定の直後に思いつく

 私はほかにも吉川氏に教わった事柄について、記事をいくつか書いている。「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」もその1つだ。吉川氏は北海道新幹線のルート設定に関わっており、新函館北斗駅の位置を決める際にも沿線自治体と交渉した。

 当時の函館市長は函館駅乗り入れを強く望んでおり、函館市民も同じ思いだったことだろう。しかし北海道新幹線の目的地は札幌だ。いったん函館に進んでから札幌へ向けてスイッチバックするルートは考えられない。

 しかし、吉川氏は新函館北斗駅の西側に車両基地があり、そこに入出庫する線路の1つが函館本線と近接していることに着目する。車庫に回送する列車を函館本線に乗り入れたら、函館駅に直通できるかもしれない。このアイデアを具体的に検討するきっかけは、自民党の元衆議院議員(現北海道議員)前田一男氏からの依頼だった。

 前田氏は第2青函トンネル推進派という点で吉川氏とつながっていた。函館市を活性化するアイデアとして、新函館北斗駅〜函館駅の支線をつくれないか。そこで吉川氏が私案を語ると、前田氏からまずはレポート作成、次に講演会を依頼されたという。その講演資料が3年前の記事の元ネタだ。ただし記事では、私の独自の解釈も交えている。

 当選された大泉市長は函館市役所勤務だったし、観光部門も担当していた。函館市の公式サイトは、市民の函館駅乗り入れの要望に応える形で「コストの面で無理」という主旨の回答を載せている。だから大泉氏も「新幹線の函館駅乗り入れ構想」はご存じのはず。そこで前田氏とつながり、吉川氏が大泉氏に詳細を説明する。そして大泉氏が公約として「新幹線の函館駅乗り入れ構想」を固めた。

 選挙告示前の2月27日に開かれた「函館圏の活性化と新幹線フォーラム」では、吉川氏の講演が行われ、大泉氏も聴講したという。

23年2月27日に開催された吉川氏の講演会チラシ
第二青函トンネルも吉川氏ら有志の研究会が提唱していた

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