「函館新幹線」ついに公約へ! 想定ダイヤをつくってみた杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/8 ページ)

» 2023年05月13日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

フル編成、分割なしのダイヤを検証する

 3年前の吉川氏の案は「東京〜札幌間の列車に函館行き編成を連結して、新函館北斗で分割し、それぞれ札幌と函館に向かう」「函館〜札幌間を乗り換えなしのローカル新幹線で結ぶ」「東京〜札幌間の最速列車は分割せず、新函館北斗〜函館間のシャトル列車を運行する」だった。並行在来線化に当たり、電車の保守コストがかかる「はこだてライナー」は不要。電車の譲渡も受けないし、新幹線電圧用の在来線電車もつくらずに済む。

はこだてライナーは並行在来線に引き取らない(筆者撮影)

 フル規格新幹線車両の函館駅乗り入れ、分割、併結なしは可能か、ダイヤをつくって検証してみた。

 まずは線路状況を確認する。東京〜新函館北斗〜札幌は複線だ。所要時間は東京〜新函館北斗は現行ダイヤを参考とし、新函館北斗〜札幌は50分。これは吉川氏の想定時間で、時速360キロメートルでの運行可能な新型車両を見込んでいる。ならば東京〜新函館北斗間も時速360キロメートルで計算したかったけれど、資料が見つからなかった。

 新函館北斗〜函館間は単線のまま。所要時間17分。これは現在の「はこだてライナー」を参考とした。1時間に上下合わせて3本しか走らない。シャトル列車も新幹線車両とし、同一プラットホーム乗り換えとしたかったけれど、運行頻度を高めるためには、シャトル列車を在来線車両とした方がいいかもしれない。複線の片側を三線軌条にするだけだから、在来線は複線運転が可能になる。

函館本線線路配置図。線が線路、細長い四角がプラットホーム。七飯〜函館間の複線の片側を新幹線対応の三線軌条とする。在来線は複線のまま残し、ローカル列車や貨物列車のすれ違いも可能となる(吉川氏提供)

 列車ダイヤ作成にあたり、take-okm氏作のフリーウェア「OuDia」を使う。時刻表を入力するとグラフ状の列車ダイヤを描画してくれる。時刻表の入力を間違えると、単線なのに駅間ですれ違うとか、複々線ではないのに、走行中の追い越しがあるなどのミスがひと目で分かる。実在のダイヤを再現して車両の運用を調べるとか、駅間で列車を撮影する人が時刻の見当を付けるために使う。もちろん、今回のような架空鉄道にも使える。

 OuDiaに駅を入力する。今回は運転に重要な主要駅のみ入力した。列車ダイヤはタテ軸に時間、ヨコ軸に駅を並べる。駅間の長さは実際の距離とは関係なく、列車の所要時間に応じて自動的に決まる。

駅時刻形式は時刻表画面の表示方法、駅規模で主要駅に設定すると、時刻表表示で時刻の空欄に「--」が表示されるため、横長表示で見やすくなる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.