誰もが知る、あのロングセラー商品はいかにしてうまれたのか。人気を持続させるための秘訣は何なのか。ロングセラー商品の育て方を、企業の担当者の視点から解き明かす。
お昼ご飯やちょっと小腹が空いたとき、お湯をそそいで3分で食べられる――。日清食品のカップヌードルは、そんな手軽さと安定のおいしさが人気を博し、カップ麺の王者ともいえる存在だ。
定番のシーフードやカレーに加え、近年は「世界のカップヌードル」と銘打った、世界各国で親しまれている料理を素材やレシピにこだわって再現した商品など、バリエーション豊かなラインアップで常に進化を遂げている。
1971年の発売から半世紀以上にわたって、カップ麺界の先頭を走り、多くのファンの胃袋をつかむ秘訣は何なのか。同社マーケティング部第1グループブランドマネージャーの川合陽介さんに話を聞いた。
――カップヌードルはどのような経緯から開発に至ったのか教えてください
川合: カップヌードルを発売したのは1971年9月18日です。
日清食品の創業者である安藤百福は、“お湯があれば家庭ですぐ食べられるラーメン”の開発に取り組み、1958年に世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」が誕生しました。
またたく間に人気商品となったチキンラーメンを世界に広めようと考えた創業者が、1966年に欧米へ市場視察に出かけたときのことです。アメリカで訪れたスーパーの担当者が、チキンラーメンを小さく割って紙コップに入れ、お湯を注ぎフォークで食べはじめたのを見た安藤は、「アメリカにはどんぶりも箸もない、つまりインスタントラーメンを世界食にするためのカギは食習慣の違いにある」と気付きました。この経験をヒントに、麺をカップに入れてフォークで食べる新製品の開発に取りかかりました。
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