低価格のプランでは、MVNOも選択肢となる。MM総研の調査では、MVNO国内シェア1位はインターネットイニシアティブ(IIJ)。調査結果によると、同社が「IIJmio」ブランドで提供する「ギガプラン」(2GB/850円、5GB/990円)が、0円プランを廃止した楽天モバイルユーザーの受け皿となっているという。
ドコモがイルモ発表と同時に「OCNモバイルONE」の新規受け付け終了を発表したことで、発表直後はネット上で「IIJに乗り換える」とする投稿が散見された。OCNモバイルONEの提供元だったNTTレゾナントが、MVNOで国内シェア2位だったため、1位のIIJに転出候補になるのは当然と言えるだろう。
MVNOでは新興勢力も出てきている。代表格の1社が、旅行大手HIS系のHISモバイル。他にも低価格を打ち出しているMVNO事業者は複数存在するが、同社は公式Webサイトで、明確に「povo2.0」「LINEMO」の名前を出し、両サービスを意識した価格を提案。「データ量ミニプラン」では3GBで月額770円に設定している。こうした打ち出し方は他のMVNO事業者のプランには見られず、踏み込んだ対応とみられる。
その他、MVNO国内シェア3位のオプテージは「mineo」(マイネオ)で必要な容量を選択可能なプラン「マイピタ」(1GB/1298円〜)、同4位のビッグローブは「BIGLOBE SIM」(1GB/1078円〜)などをそれぞれ提供している。
キャリア、サブブランド、MVNOの各領域で各社が特色あるプランを出している。多少の価格差はあるとはいえ、3GBで1000円前後の価格帯でのユーザー獲得が激化している。
識者はこうした動向をどう見ているのか。ITジャーナリストの山口健太氏は「サービス内容を理解して使うのであれば『povo2.0』『LINEMO』、他のMVNOも選択肢になるだろう」と話す。
だが「スマホ料金は家族や固定回線とのセット割がある。最近は経済圏との連携も進んでいる」とも指摘。「経済圏ごと『ワイモバイル』『UQ mobile』に乗り換える選択肢はあるものの、ドコモ経済圏にとどまるならイルモを活用したほうがトータルで得をする可能性が高い」との見解を示した。
楽天に代表されるように、近年は消費などの経済活動を特定の会社のサービスで完結させる「経済圏」を武器に、新規のユーザーを獲得したり、他サービスへの離脱を防いだりする動きが出てきている。イルモの割引きもこうした動きを反映したものだ。
経済圏を考慮してドコモにとどまるのか。はたまた他のサービスに乗り換えるのか。7月1日にイルモはサービスを開始するが、その後のドコモやOCN契約者の動きに注目が集まりそうだ。
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