驚異的な成長続けるドラッグストア業界 強みはどこにあるのか品ぞろえから探る(1/3 ページ)

» 2023年06月30日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

WEB3.0専門のコンサル会社 マーヴェリック株式会社 COO(Chief Operating Officer)

城北宣広株式会社(広告業)社外取締役

著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。

2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。

2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。

日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。


 3月に経済産業省が発表した資料によると、2020年から50年にかけて、総人口は20%減少するそうです。その中でも、特に生産人口は30%以上減少します。また、高齢化率は37.7%、要介護者約10%(1000万人)にものぼり、対処をしなければ経済活動に深刻な影響を与えるとされています。

ドラッグストアはなぜ成長し続けるのか(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 要介護者の増加に伴い、社会保障の負担額は25年度から40年度にかけて約35%増加します。医療費は47.8兆円から66.7兆円、介護費は15.3兆円から25.8兆円に拡大する見込みです。健康な状態で長期間経済活動をできるようにする健康寿命の延伸も必須のテーマです。

 このような市場環境の中で、小売業や消費財メーカー、製薬会社だけでなくIT企業までもがヘルスケアマーケットでいかに価値を提供し、ビジネスを確立していくかを試行錯誤しています。

 次の図にある通り、経産省が主導する切れ目のない健康サービスのためには、病気が顕在化する前段階の生活習慣病対策が重要です。

 健康への気付き、健康診断結果による日常生活の食事・運動の改善。これを支えるメインプレーヤーの一つにドラッグストアがあります。ドラッグストア主要企業12社の18年から22年の業績を確認してみましょう。

 驚きなのは、18年から22年の売上年平均成長率が下がっている企業が1社もないことです。12社の売り上げを合計した年平均成長率は7.8%、18年対比では135.3%、19年対比124.1%の成長を遂げており、コロナ前よりも業績が拡大していることが見てとれます。営業利益率も4.5〜5.0%の中で安定的な収益性を保持しています。

筆者作成(以下同)
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