同製品を飲んでみると、あくまで筆者個人の感想だが、心地いいスモーキーな風味があり、炭酸とアルコールをしっかり感じられた。好き嫌いが分かれるとはいえ、低価格のハイボール缶や居酒屋のハイボールを親しむ層も好みそうな気がした。
とはいえ、市場には安くて、それなりに満足できる味わいのハイボール缶が多くある。なぜ価格が高いスモーキーハイボール缶が好調なのか。
戦略企画課の中西氏によれば、「潜在的なニーズ」「コンビニでの流通」「三郎丸蒸留所のブランド強化」の3点が大きいのではないかとのこと。
まず、近年のウイスキーブームが大いに関係していると予想される。国税庁が発表する酒のしおりによれば、日本におけるウイスキーの販売量は、08年まで減少傾向だったものの、09年以降、19年まで右肩上がりに伸びている。20年はコロナ禍の影響で減少しているが、外食の動きが活発化するにつれウイスキーの販売量も増加すると見込まれる。
ウイスキーの輸出量もここ数年で急激に伸びており、国内のウイスキー蒸留所もここ8年ほどで一気に増えている。こういったウイスキー熱の高まりから「新たなジャンルのハイボールを試したい」というニーズが高まっているのかもしれない。
販路においては、19年の発売当初、酒専門チェーン店や富山駅の土産物屋などを中心に発売されていたが、22年秋からはセブン-イレブンでの流通も始まった。販路が広がったことで認知が拡大し、ターゲット層に届きやすくなった可能性が高い。
さらに、三郎丸蒸留所のウイスキーのブランド力向上もヒットにつながっているようだ。近年は、国内外のウイスキー関連のコンテストで入賞することが増え、特にシングルモルトの製品は抽選販売になる人気ぶり。
英国の専門誌『ドリンクス・インターナショナル』が主催するウイスキーの世界的なコンテスト「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ 2023」で、金賞を受賞した「三郎丸II THE HIGH PRIESTESS カスクストレングス」22年11月には、三郎丸蒸留所のブランドをより売っていこうという方針から、「ハリークレインズ クラフトハイボール」から「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」にリニューアルした。ウイスキー好きの間で希少性の高いブランドという認識が広まりつつあることから、同製品に興味を持った人もいたかもしれない。
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