コロナ禍による客足減少によって苦しんだJR東海の“逆襲”が始まった。
静岡・愛知など大河ドラマゆかりの地を巡る「どこ行く家康」キャンペーン、今年30年目を迎える「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンを次々に展開している。
日本の優良企業の代名詞だったJR東海は、2020年度に同社発足以来初の赤字となる2015億円の最終損益となった。21年度も引き続き519億円の最終損益に。その要因は、出張制限に加えて、リモートワークやオンライン会議の定着によって、主要ターゲット層だったビジネスパーソンの利用が大きく減少したからだ。
チケット代を値下げせずとも十分な利用客が見込めた時代は終わりを告げ、ビジネスパーソンに代わって観光客の取り込みが必須となった。
新型コロナが5類に移行し、反転攻勢に出たJR東海のキーワードとして見えてくるのが「LTV」だ。LTVとは「Life Time Value」の略で「顧客生涯価値」と訳される。つまり、ある顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標だ。JR東海に置き換えると「人生で東海道新幹線に何回乗ってくれるか」となるだろう。
例えば、現在放送中の大河ドラマにあやかった「どこ行く家康」キャンペーンでは、東京や大阪から静岡・愛知に向かう乗客数を増やす狙いがある。同時に、一度のみならず、今回のキャンペーンをきっかけに歴史好きとなってもらえれば、沿線各地に点在する城郭や史跡などへ何度も足を運ぶことが期待できる。
また、1993年にキャンペーンを開始した「そうだ 京都、行こう。」は今年で30年の節目を迎える。京都を、日本を代表する観光地に押し上げた原動力だ。
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