“重ね着”なのになぜか涼しい ワークマンの「ひんやりウェア」が人気猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い(2/2 ページ)

» 2023年07月22日 07時00分 公開
[菊地央里子ITmedia]
前のページへ 1|2       

オシャレを追求した夏のアイテム

 11年のひんやりグッズ参入当時はコンプレッションシリーズのような現場向けアイテムが中心だったが、14年からは一般向け商品も展開。中でも17年に発売した「ファンウェアシリーズ」は、6月中旬からほとんどの店頭で扱う夏の定番アイテムに成長した。

man ファンウェアシリーズ

 ファンウェアシリーズは、バッテリー・ファンを使用することで服の中に風を送り込むアイテム。服の中に風を送ることで、気化熱を利用して涼しさを感じる仕組みだ。長袖、半袖、ベスト、パンツなど約15種類のアイテムを展開している。

man 長袖タイプ
man ベストタイプ

 同社が参入した17年は、ファンウェア市場の競争は激しさを増しており、他社との大きな差別化ポイントが必要だった。そこで同社はデザインに着目。他社が作業服らしいデザインにしている一方で、作業服の機能はそのままに日常やアウトドアでも着用できるオシャレなデザインを採用した。この戦略は功を奏し、若い女性や主婦層などから人気を獲得。用途もアウトドアやキャンプだけでなく、フェス、ガーデニング、ゴルフ、スポーツ観戦、サバゲーなど使い方が広がっているようだ。

 また、コンプレッションシリーズとファンウェアシリーズを組み合わせて着用するケースも増えているという。「コンプレッションシリーズをインナーとして着用した上にファンウェアシリーズを重ねると、風が通るときに接触冷感でより涼しさを覚えるそうです」(同社広報担当者)

man コンプレッション×ファンウェアでより涼しい

アウトドアアイテムにも参入

 こうした定番商品の他、昨今のアウトドア需要を獲得するべく、今年新たに発売したのが「い草マットレス」(3900円)、「い草シート」(2900円)だ。表面に畳の素材であるい草を使用することで、テント内の蒸れを軽減。熱帯夜でもベタつきづらく、快適に眠ることができるという。キャンプの持ち運びやすさも考慮し、い草シートは丸めて、い草マットレスは折りたためる仕様にした。

man い草マットレス
man い草シート

 主な購買層は男女の中高年層だが、予想外だったのは使い方だ。「アウトドアで使用はもちろんですが、リビングなどで横になる際のマットやペットの寝床として利用されるケースも多いです」(同社広報担当者)。6月の販売直後から売り上げは好調に推移しており、新たな夏の人気製品の仲間入りを果たしている。

 現場向けから始まったワークマンのひんやりグッズ。そこで培った高い機能性だけにフォーカスするのではなく、デザイン性を組み合わせることで、一般向け商品でも支持を獲得しているようだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.