いきなり書きはじめたほうがいいのか。
それとも、ある程度、なにかしらの準備をしてから書きはじめたほうがいいのか──。
文章の書き方を語るときに、必ず議論されるテーマのひとつです。
しかし、これも「はっきり分かっているから、はっきり伝えることができる」が基本だと分かれば、答えは明白です。
やっぱり、いきなり書きはじめるのは適切とはいえません。準備すべきことを準備してから、つまりは「伝えるべきこと」を明確にしてから書きはじめたほうがいい。
そのことは、実際に文章を書くときのことを想像してみるとよく分かります。
仮に、あなたが社会人向けスクールの広報担当だとして、ふだんおこなわれている講義の様子を案内パンフレットで記事として紹介しなくてはいけないとします。
なにをどんなふうに書くか……。悩むところです。
もしそこでいきなり書きはじめようとしたら、どうなるでしょうか?
講義のことを書かなくてはいけないとは思いつつも、なにをどのように紹介すればいいのか、見通しが立たないはずです。
講義の内容や、受講者の様子、教室内のムードなど、ネタになりそうなことはたくさんある。
でも、そのどれを、どのように紹介すればいいのかが分からない。記事に盛りこむべきこと、書くべきことがはっきりと見えない……。
前回の話でいうと、素材を「選びとる」ことができない状態です。
そのまま書きだしてしまうと、とりあえずそれらしいことを書き連ねて、「それっぽいけれど、なにがいいたいのかよく分からない記事」になってしまったりします。
でも、そこで自分なりに考えをめぐらせて、先に「伝えるべきこと」をはっきりさせておくとどうなるか。
例えば、仮に「自校の講義では、特別な緊張感のおかげでふだん以上に集中でき、多くの学びを得られる」というものがそれだとしたら、受講者の真剣な姿勢を掘り下げたり、そのなかで獲得した気づきのレベルが非常に高かったことを指摘したり、その両方のあいだにある因果関係などを書いて紹介したりすればいい、ということが、すぐに見えてきます。
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