近大マグロのPRや、卒業生であるつんく♂氏を入学式のプロデューサーに起用するなど、独自の宣伝戦略を打ち出す近畿大学。メディアでの露出も多く、大学受験志願者数でも、2023年度の一般入試志願者数はのべ15万2192人で全国1位だ。
14年度の入試以降、10年連続で1位に輝いていて、受験生への人気向上につながっている。この人気の高さは高い収益構造にもつながっていて、近畿大学は22年度の事業活動収入で1499億円と、学校法人として全国で5位だ。
一方で大学業界は他業種に比べて一般的に、順位の入れ替わりが乏しい珍しい業界といえる。国立大なら東大・京大、私立大なら早稲田・慶應から続く序列は長らく変わっていない。大学の規模や志願者数とは別に、受験生や保護者、そして学生を採用する企業から定まってしまった「序列」を覆すのは難しいのだ。
近大の取り組みは、こうした固定観念に対する“挑戦”ともいえる。いったいどんな戦略を描いているのか。近畿大学で経営戦略本部長を務める世耕石弘氏に話を聞いた。
世耕石弘(せこう いしひろ) 奈良県出身。大学を卒業後、1992年近畿日本鉄道株式会社に入社。以降、ホテル事業、海外派遣、広報担当を経て、2007年に近畿大学に奉職。入試広報課長、入学センター事務長、広報部長、総務部長を歴任。20年4月から広報室を配下に置く経営戦略本部長となり、現在に至る――近畿大学は世界初の完全養殖クロマグロ「近大マグロ」を中心とした宣伝活動を続けています。14年度以降は、OBのつんく♂氏が入学式のプロデューサーを務め、卒業式でも15年にホリエモンこと堀江貴文氏、22年に故・安倍晋三元首相、23年にサッカー元日本代表の本田圭佑氏をスペシャルゲストに呼んでいます。狙いはどこにあるのでしょうか。
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