ChatGPTなどの生成AIが、世界の産業構造を根底から変えようとしている。業務効率を飛躍的に上げる生成AIは個人や企業だけでなく、国の競争力にもかかわる「新しいAI時代」の到来をもたらした。岸田文雄首相はAI戦略会議を新設。G7広島サミット2023でも生成AIを議題に上げ、その活用を巡る国際ルール作りなどに向け、年内に結論を得ることを目指している。
テクノロジーの発展は、表現の世界にも劇的な変化をもたらしてきた。
今では誰もがスマートフォンで撮影した写真や画像をSNSで気軽にシェアしている。かつてフォトグラファーやイラストレーターといったクリエイターの専売特許だった写真や画像が、技術によって広く民主化された形だ。
今後は生成AIを使って作成した画像を使用する人や、自社コンテンツとして使う企業も増えるだろう。まさに、誰もがクリエイターになれる「1億総クリエイター」時代が幕を開けようとしている。
だが、現在でもプロと一般人との間に圧倒的な技術的ハードルがあるのが音楽の業界だ。ビートルズの元メンバー、ポール・マッカートニー氏は同バンドの「最後の楽曲」となる新曲をAIによって制作し、今年リリースすると発表。話題を集めている。
一方で米グーグルは2月、文章から自動で作曲をするAI「MusicLM」を発表した。だが現時点ではプロが音楽生成AIをピンポイントで使用することはあっても、誰もが作曲できる時代が到来したとは言えない。作曲をするには高度な技術が必要で、プロとの溝はまだまだ深いからだ。
今後、音楽ビジネスの世界で生成AIはどのような未来を描いていくのか。
日本を代表する作曲家、作詞家、音楽プロデューサーでありTNX社長のつんく♂氏と、AI研究者で、音楽生成AIを使ったアプリを制作するDataPOP社長の酒巻隆治氏に、「生成AIと音楽ビジネスの未来」をテーマに対談してもらった。
果たして生成AIを通じて誰もが作曲できる社会は来るのか。AIはヒット曲を生み出せるのか。2人の対談から3つのヒントをお伝えする。
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