大企業からすれば、こういう取引先と親密な関係を築けば、コンプライアンスだなんだと面倒なことを気にすることなく、「結果」が得られる。その結果を出すために現場で不正が行われていても、パワハラやら性加害がまん延していたとしても、「他社」の問題なのでリスクはない。もしそれが大事件になっても「知りませんでした」とすっとボケることができる。
こういうもたれあいは取引先からしてもありがたい。とにかく結果さえ出し続ければ、大企業から切られることはないので、現場の労働環境やコンプライアンスなど気にしなくていい。人を使い捨てにしようが何をしようが、結果を出すことだけに集中すればいいので経営もしやすい。
もうお分かりだろう、この取引先こそが、テレビ局におけるジャニーズ事務所であり、損保ジャパンにおけるビッグモーターだ。
テレビと損保という異業種ながら、「ムラ社会の中でパイを奪い合っているうちに、結果を出せば何をしてもいいとモラルが崩れていく」という点においては、両社は驚くほどよく似ている。
例えば、分かりやすいのは03年10月に発覚した視聴率買収事件だ。日本テレビのプロデューサーが、ビデオリサーチ社のモニター世帯を調べて、番組アンケートや機械の点検を装って金銭を渡して視聴を依頼したのだ。
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