半額ショップを訪れた消費者は、初回来店時には半額というキーワードに惹かれて店内を探索する。しかし、大多数が「掘り出し物」かどうかを判断できず、なんとなくモヤモヤして帰ることになり、リピーター率が期待するほど上がらない。なかには当然、掘り出し物があるのは間違いがないが、宝探しのようなワクワク感でいえば、ドン・キホーテの「魔境」と称する濃厚な売り場空間と比べてしまうと、かなり見劣りがする。
半額ショップの売り場は安いものをただ平板に並べているという印象が強い。売り場作りにまで手がまわっていない感じがあり、私見ながらドン・キホーテの売り場作りに対する執念には到底及ばないように思う。注目されつつある半額ショップは試行錯誤の段階であり、今後定着していくためには、まだまだ改善の余地があるように思われる。
ビジネスモデルの改善といえば、現在のディスカウントの王者・オーケーでさえ、完璧な完成形というわけではない。オーケーに関しては近年のデータの変化で気になる点がある。それは商品別の粗利構成の変化である。
図2は、オーケーの商品別の粗利率と全社ベースの販管費率を、12年度と22年度で比較したものだ。12年度においては、食品(生鮮品、冷食品以外≒工業商品)や雑貨の利幅(粗利率−販管費率)は極めて薄く、生鮮食品で大半の利益を稼いでいたことが分かる。22年度では食品、雑貨の利幅は薄い傾向はあるものの、かつてに比べればかなり利幅が厚くなり、まんべんなく利幅を確保するかたちに変わっている。
メーカー品(主にナショナルブランド商品)を、薄い利幅も辞さずに低価格販売することで集客し、生鮮をついで買いしてもらうことで、オーケーは消費者の高い支持を獲得した。その結果、12年度では2500億円ほどであった売り上げを、22年度には5500億円超とし、倍増以上の成長を実現。食品スーパー業界でも有数の商品調達量を持つ存在になった。
23年の食品、雑貨の利幅がかなり拡大しているのは、そうしたオーケーの業界における存在感が、仕入先からの調達条件を改善させたという解釈もできる。大きく成長したことによって、収益構造も変えているオーケーは次のステージへとステップアップしつつあるのかもしれない。
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