そしてここに、改正されたばかりの反スパイ法も関わってくる。改正法では、スパイ行為の定義が広がり、データの扱いなどもその対象になったのだが、テスラは走るたびにカメラからのデータや地図データなど大量のデータを集めるため、この観点から、テスラを禁止にする場所はこれからさらに増える可能性が高い。そうなるとリスクある自動車という扱いになっていく。
実は、この動きは中国自動車メーカーを中心としたテスラ追い出し行為だと見る向きもある。そして、こうした中国のさまざまなリスクは、今後も中国での自動車販売を加速させたい日本メーカーにも頭痛の種になる可能性がある。ただ日本企業にとって、問題はそれだけではない。
日本のトヨタや日産、ホンダは実のところ、BEV(バッテリー式電気自動車)で、車載バッテリーを中国企業に依存している。というのも、BEVの車載バッテリーの世界シェアは中国企業が50%以上を占めているという実態があるからだ。
コロナ禍でマスクの“中国依存”が浮き彫りになり、サプライチェーンの見直しや「経済安全保障」というものが注目を集めているが、同様に今後、カントリーリスクがさらに高まれば、バッテリーの調達が難しくなるだけでなく、先に述べた反スパイ法の関係で、バッテリーを中国国外に持ち出す際にバッテリー関連データの扱いが問題になる可能性がある。
これについては、テスラも同じである。日本経済新聞の8月10日付の記事によると、テスラの自動車では車載バッテリーの4割近くが中国企業サプライヤーの部品でできているという。これはテスラにとっても今後のさらなるリスク要因だといえよう。
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