その他、BEVは「チャイナリスク」という問題も抱えています。中国系テックメディア「36kr」は1月8日付けの記事で、中国企業が車載バッテリーの世界シェア1・2位(2022年1〜11月)を占めていると報じました。1位「CATL」(寧徳時代)がシェア37.1%、2位BYDが同13.6%で、2社合計50.7%と世界シェアの半数以上を占めているそうです。
コロナ禍の初期では日本国内でマスク不足となりましたが、その要因は生産地が中国に集中していたことでした。マスク不足になった日本に対し、中国はマスクや防護服などの医療物資を提供する「マスク外交」を展開。影響力を拡大しました。これを教訓とし、日本は「経済安全保障」をテーマにサプライチェーンの見直しを進めました。
近年の中国による台湾や南シナ海などへの海洋進出で、米国との対立も激化しており、車載バッテリーの生産での中国依存に懸念を示す声も出始めています。
日本では、米ソ冷戦中の1987年、東芝子会社の東芝機械(現在の芝浦機械)が、共産圏への戦略物資輸出を規制する「COCOM」(ココム、共産圏輸出統制委員会)に違反し、潜水艦の静音性を高める工作機械を旧ソビエト連邦に輸出していたことが判明(いわゆる「東芝ココム事件」)。外交問題に発展し、東芝は当時の会長と社長の辞任を余儀なくされた過去があります。
そうした苦い経験もある中、中国の供給体制を前提にしたBEV普及は、今後リスクが生じる可能性があります。
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