日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表したPHEV(プラグインハイブリッド)部門の国内販売台数で、三菱自動車工業(三菱)の「アウトランダーPHEV」が2年連続1位に選ばれた。トヨタ「プリウス」「RAV4」などのライバルがいる中、なぜ日本で最も売れたPHEVとなったのか。広報に聞いた。
アウトランダーはSUVタイプのPHEV。「パジェロ」(現在は生産終了)、「デリカ」など三菱を代表する4WD(四輪駆動)のDNAを受け継ぐ形で、2005年に誕生した。13年1月に初代PHEVモデルの販売が始まり、電動車ならではの静かな運転性能と4WDの力強い走行性能を両立した、三菱のフラグシップモデルとなっている。21年10月にはフルモデルチェンジし、デザインなどを刷新。1月で誕生10年を迎えた。
2013年自販連の調査では、アウトランダーに加え、「エクリプス クロスPHEV」もPHEV部門の2位にランクインし、三菱がトップ2を独占。22年に、2車種で2万1544台を販売し、PHEVの国内シェアで半数以上となる54%を占めた。
三菱広報は販売好調の一因に、欧米を中心に進む電動化の動きを挙げる。電動車(EV)の中でも、車載バッテリーのみを動力源とするバッテリー式EV(BEV)は地方での充電環境の少なさや、1度の充電での航続距離に課題が残る。「PHEVは電気とガソリンどちらでも走行可能。電動車に興味があるがBEVだと不安なユーザーの受け皿になっているのではないか」。三菱広報はこう分析する。
フルモデルチェンジによるデザイン性の向上や「3列シート」採用も販売好調の要因と見ている。初代モデルは「質感が低く、課題があった」(同社広報)といい「2代目では価格は上がったが、デザインが大きく変わり、力強い感じの外観となった。好評価をいただいている」(同)と話す。2代目モデルでは3列シートも採用したことで「他社のミニバンから乗り換えるケースが増えた」とも明かした。
フルモデルチェンジによる変化は売り上げデータにも表れている。2代目発売前の主な購入層は50〜60代だったのに対し、発売後は40代が全体の27%、50代が同29%に。40〜50代で売り上げ全体の約6割を占め、購入層の若返りに成功した。
他社車種からアウトランダーに乗り換える割合も20年度は58%だったが、22年度は74%に達し、他社からのユーザー獲得にも成功している。なお、4WDという車種の特性から、ユーザーの9割は男性で、フルモデルチェンジ後もユーザーの男女比に大きな変化は見られなかったという。
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