一方で後れを取っているBEVについても、2026年までに年間生産台数を150万台にするとし、環境整備が遅れている国内よりも米国向けなどを先行して、市場シェア拡大をはかっていく方針を示しています。最新の情報では、10分の充電で1200キロ走行できる全固体電池EV車を27年に市場投入すると発表しており、まさに全方位の姿勢で脱炭素の次世代自動車開発に突き進んでいるわけなのです。
国もトヨタの姿勢を、全面的に後押しする姿勢を見せています。1つは経済産業省がトヨタの電池投資に、1178億円の補助金拠出を決めたことです。水素エネルギーの活用に関しても、政府が次世代の脱炭素燃料としての水素のサプライチェーン整備に向け、この先15年間で15兆円の投資支援に乗り出す、という報道(日本経済新聞6月3日付け記事)もありました。わが国の産業界の心臓部ともいえる自動車業界に対して、言い換えればその中心で全方位での前進姿勢を示すトヨタに対して、何か大きな力が動き始めたと感じています。
脱炭素の次世代自動車レースにおいて、現状、日本が劣勢に立たされているのは動かしがたい事実です。しかし「BEVは脱炭素車のデファクト・スタンダードならず」と多角的に次世代脱炭素自動車開発にまい進するトヨタが、ゲームチェンジャーとなる可能性も大いに感じられはしないでしょうか。100年に一度の大変革を迎える自動車業界にどのような未来が待ち受けているのか、まだまだその全貌は見えていないのです。
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